カカサス4

□厄日2
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◇厄日2◇





明日の七班の任務は搾乳だった。
サスケはげんなりした様子でいる。家畜の匂いがダメなのかい?
するとサスケは真面目な顔で「乳の匂いがダメなんだ」といった。
そして「ああ」と畳に伸びてしまったから、可愛くてオレは笑った。
うんと小さい時はテーブルに突っ伏して、お母さんのおつかいに抵抗していたっけ。





「サスケだけやらないって訳にはいかないなぁ」
頑張ってと髪を撫でた。畳に伸びて抵抗しているサスケも本当はいい子だ。やらなきゃいけないのは解っているんだ。
「母さんの匂いがダメだったんだ」とぽつんといった。
うん。女の人の匂いって、大体乳くさいよね。
「服を着てる時はまだいいけど、母さんの後に風呂に入ると吐き気がして…母さんの事は好きだったんだぜ?」
「あんたの匂いは平気なのに」
「じゃあ乳児の時は大変だったね」
「ミルク吐いてばかりいたそうだ…解るオレ」
オレは冷たい子供だったのかなと呟くサスケに微笑んだ。
「神の子だって神様を恨む過ちを犯したんだよ。なぜ私を見捨てたのですかって。だから人が過ちを犯すのは当たり前さ」
「?」
「って、孤児院のマザーがいってた」
「オレはマザーと関係ねぇもん」
「じゃあオレが、サスケの苦手なところを引き受けてあげる。サスケが気持ち悪くならないように」
そしたらサスケはやっと突っ伏している畳から起き上がった。
勇気を出して本当に当日の搾乳も頑張った。
ただナルトが生温かい生乳を直接飲んでみせるのを見て顔をこわばらせながらもどこか尊敬の目をしてた。
薄暗い搾乳場で、「ご苦労さん」って頭を撫でたら、サスケは成し遂げた強い目でオレを見た。





「サスケの苦手なところを引き受けてあげる」
そう請け負うと勇気を出して苦手な女の人相手の任務も頑張った。
うぬぼれかもしれないけどオレの事ちょっとは好きだったんだよね?





「サスケの苦手なところを引き受けてあげる」
その約束は戦争が終わってオレが火影になってからも続いてた。
オレが食事の後で食器を洗い一枚ずつ拭いてサスケに渡した。
サスケはそれを片付けて、それもしたくない時はただオレが食器を重ねるのを眺めていた。
もうテーブルに突っ伏して抵抗したり畳に突っ伏す歳じゃないけどサスケが戦争を思い出して悲しい時オレはなぐさめの言葉を囁いた。
「神の子だって神様を恨む過ちを犯したんだよ。なぜ私を見捨てたのですかって。だから人が過ちを犯すのは当たり前さ」
「?」
「って、孤児院のカブトがいってた」
「あいつは罪を犯しすぎだろう。よく平気でいうぜ」
そうして二人で大笑いした。
サスケと大笑いして楽しかった。こうして二人仲良くずっと暮らせたらいい…。オレは昔からずっとそう思ってきたんだ。
それなのにサスケはその後平気で結婚して子供をもうけた。
女の人の匂いが苦手だといったのに、嘘つき。
サスケは勝手で嘘つきだ。
今のサスケは人生を成し遂げた強い男の目をしている。
だけどオレのなぐさめは、少しはサスケの力になったのかなと火影室で寂しく思った。




FIN.
 

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