カカサス4

□とりせつ
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◇とりせつ◇





ちょっとした手の痛みを感じて右手を見ると細く短いあかぎれができていた。
乾燥するこの時季は苦手だ。水仕事をして毎回ダッシュでハンドクリームを塗っても冬の間に何回かあかぎれた。
カカシに見せると、「おやまぁ」と微笑んでハンドクリームを塗ってくれた。
「サスケは本物の乾燥肌ではないよ。だって顔もお肌もきれいだもの」
カカシはそういうけどカカシなんか水仕事をしても、ほとんどハンドクリームなんか塗ってない。それなのに長くてきれいな指だ。
ナルトにいたってはアカデミーにいた頃から、一度もあかぎれなんかで悩んでいない。あいつは一人暮らしなのに。
あいつの肌は鉄壁か。
だけどほんとは気付いていたんだ。
みにくい人生だったオレに比べて善人のナルトやカカシは始めから何者かの恵みを受けていたんだ。
だからナルトもカカシも美しい顔をしている…





「乾燥肌ってハンデだよな」
「だから乾燥肌じゃないって」
「クナイを力いっぱい握れないだろう?」
すると、爪の間まで丁寧にクリームを塗っていたカカシの手が止まって、ふっと笑った。
「それじゃオレがサスケの手荒れを引き受けてあげる」
カカシは昔からよくこんなおまじないをした。
善人ゆえにカカシのおまじないはよく効いた…オレは不思議な畏れに打たれながらも、いつもカカシに感謝していて。だけどこの時はギクリとした。
ちょうどその頃オレは家出をしようとしていた。つまり大蛇丸のところへ行く気だったんだ。





「そしてサスケの手荒れが治るようにお祈りしてあげる」
あんたの祈りは届くだろう。あんたの真剣な祈りを神は喜ぶだろう。
だけどあんたを捨てる気でいるオレの本心を神は知っていてその代わりに激しくオレを憎むだろう。





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