カカサス4

□いちばん
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◇いちばん◇





キッチンで洗い物をしてたサスケが、こたつでアイパッドのニュースを見ていたオレの横に座った。
サスケが何をたずねるか何回も繰り返されてきてオレは知っている…
「あんたの忍犬が世界で一番お利口って本当か?」
「本当だよ」
「オレがあんたの一番の友達って本当か?」
「本当だよ」
オレが自分の忍犬をどんなに大切にしているか知っているサスケはそれで満足するのだった…サスケが何をいうのか知っていてオレがいつも同じ返事をするのはサスケが好きだからだ。
その事もサスケは知っていただろう。





うちはの事件の後でオレがこの家に来た時サスケは畳に転がったままでひどく無気力に見えた。
可哀想に。イタチに裏切られて自己肯定感を失っていたんだ。
それでもさすがは子供。ご飯を作ってあげたりお風呂を沸かしてあげたりするとサスケは新しい日常生活に溶け込んだ。
友達だった昔と同じようにおしゃべりしながらいただく食事が楽しくて幸せだった。
それでも、何かのはずみであの時の恐怖を思い出すとサスケはオレにたずねた。
「あんたの忍犬が世界で一番お利口って本当か?」
「本当だよ」
「オレがあんたの一番の友達って本当か?」
「本当だよ」
するとサスケの耳が燃えるようにぽっと赤らむのだった。
失われた愛を取り戻そうとしているんだ。可哀想に。





サスケは男らしく恐怖と戦っていたけどそれでも怖くて眠れない夜はオレに打ち明けた…
「オレに元気が出るような愛情あるコメントをくれよ」
「サスケ頑張って?」
「そうじゃなくて。オレの事を好きだといって?」
「サスケの事をこの世で一番大好きだよ」





サスケの耳は燃えるように赤くなって顔が輝いた。
サスケはいつも同じ答えを求めてオレが面倒がらずに同じ返事をしてやるのはサスケが好きだからだ。
可哀想に。好きだというだけで勇気を持てるサスケはオレを家族だと見なしている。
だからオレは何度でも同じ返事を繰り返した。好きだと。一番の友達だと。サスケの気の済むまで。
当事サスケの全世界で唯一の友達だった、憎たらしいイタチの代わりに。





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