カカサス4

□帰れない
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◇帰れない◇





カカシの誕生日も近い頃火影邸をたずねたらカカシは喜んでくれた。
連絡を入れてなかったのに二人分の料理が用意されているのは、カカシはいつもこんな風にオレのめしを準備していてくれたのだろう。胸が熱くなった。
食事が終わると「家には帰っているの?」と思案げにたずねてくる。
「いや…オレは元抜け忍だから」
「迷惑だなんて思ってる訳ないでしょ。オレだってサスケがきてくれてこんなに幸せだもの」
カカシもサクラも本当に気にせずにいてくれるのがオレには余計耳が痛かった。
誰よりも抜け忍を意識しているのは実はオレなのかもしれない。
誤魔化すように「ここに来る途中でこの秋初めて石焼き芋屋を見たぜ?」といったら、カカシは「サスケと石焼き芋ね…」と一分ほどぼんやりしていたがやがて小さな声でできた。とつぶやいた。
「またあんたのエロ話が?」
「サスケとオレのお話が」
それでオレは笑ってカカシのあぐらの中に入って話を聞いてやるのだった。





九月は暑いけど時々すごく涼しい日があるよね。そんな時旅から戻ったサスケは石焼き芋屋の車を見た。
サスケはふとサクラとサラダのことを頭によぎらせたかもしれない。甘い物の苦手なサスケは自分で石焼き芋を買うことはまずないが、サクラとサラダへのおみやげにしようと思ったかもしれない。
あるいは、誕生日のオレのことを思い出してくれたのかもしれないね。
とにかくサスケは「おい、芋をくれ」と石焼き芋屋を呼び止めた。
それでサスケは生まれて初めて芋の釡を見たのだが、中は甘い香りがして本当に熱い石が敷き詰められているんだ。
芋が意外と少ないのは車が重いと燃費が悪くなるからだ。そうおじさんがぼやいていた。それでなくとも石は重いのだ。
それで石焼き芋というのか。サスケが感心して釡に見とれているわずかな隙に、サスケは後ろから石焼き芋屋のおじさんにがっしりと抱きすくめられた。
「何をするんだ…!」
サスケは刀のつかに手をかけるが真人間になったサスケは民間人の前で刀を抜くことなどないのだ。
結局石焼き芋屋のおじさんと揉み合いになる訳だが、おじさんの帽子が落ちて薄茶色の髪がサラリとこぼれた。
そう。そのおじさんこそ、大戦後に転職したゲンマだった。





「ああ、やっぱりゲンマなのか」





サスケがわずかに驚いたその隙に、ゲンマはサスケのたった一本の細い腕をがっしり握った。
ゲンマはギラギラ光る目で性急にサスケにささやいた…「会いたかった。妻子を持ったおまえはきっといつか石焼き芋を買いに来ると思って実は去年からずっとこの車で待っていたんだ」





「あんたのゲンマって真面目だよな」
「好きにならないでよ?」





そう。もしサスケが結婚していなければゲンマが石焼き芋屋に転職する事はなかった。サスケがおみやげを買う立場になったからこそ初めて転職したんだ。
悪くいえば始めから好意を抱いていたサスケをものにしようと狙っていたんだ。
サスケの背後を再び取ったゲンマの手がズボンに差し入れられた…荒々しい動きでサスケのものをなぶる手にサスケは知らず知らずに頬を真っ赤にし追い詰められた。
「あっ…!あっ…!」と膝をガクガクさせたサスケはゲンマの手で一度イカされてしまった…。がっくりと脱力したサスケを片手で抱いてゲンマがほくそ笑んだ。





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