一周年記念

□あのサンドイッチを…
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その晩はテレビでクイズ番組を見ていた。
カカシはバラエティーが嫌いで、くだらないといってすぐチャンネルを替えるんだけど。
その晩はテレビなんか気にしてなかった。
オレはそれをいい事にずっと好きなクイズを見てたんだけど。
「おいで」って急にカカシのあぐらに引っ張られた。
あと少しのところで解答が出るのに。
中腰に立ち上がってテレビの解答をガン見した。





カカシは解っていない。
カカシが晩酌している時あぐらに入れられると、グラスを持つカカシの腕が邪魔でテレビが見づらいんだ。
あとオレの頭にほっぺを乗せるから重い…
オレは大人だから好きなようにさせているけど。





カレンダーに書いてあった。
そういえば明日は株主総会だったな。
カカシは持ち株会社の取締役だけど、れっきとした本社の部長なんだから気を揉む事はないのに。
余裕からカカシの頭を撫でて「明日はきっと勝つよ」と笑った。





当日の夕方携帯にカカシから電話が入って、「無事終わりました」といった。
当たり前だろう。
「サスケにおみやげ持っていくね」っていうのはまた食い物の残りか。
社宅の四階までカカシが駆け上がってきて、大きな紙袋のサンドイッチを渡して、またあわただしく駆け下りていった…
オレはパンよりもご飯が好きだ。
それにサンドイッチは、明日まで保たないだろう…
食えそうなものだけ冷蔵庫に入れて、サンドイッチの袋を持って下の階に下りていった。
大家族の一階の住人は留守で、そういえば昼間社宅の前に路駐している車もなかった。
買い物だろう。
二階の大柄な奥さんが玄関を開けてくれた。
意外に喜んでくれて「サンドイッチ貰ったよっ」って奥の部屋に呼びかけたら、幼稚園くらいの女の子が出てきた。
「はやくご飯にしよう」ってその子の顔がぱっと輝いて、オレも思わず頬が弛んだ。
愛想なしと思われているが、オレは子供は好きだ…





テレビがつまらない暇な夜に、カカシのあぐらの中で聞く昔話が好きだった。
都会派のカカシは意外にも、小さい頃は海と山に囲まれたど田舎村で育ったんだって。
海辺に駆け下りてゆく胡瓜畑が続く道から胡瓜を拾って、それをおやつにしていたんだって。
色白のカカシの真っ黒に日焼けした姿が想像できなくて、何回聞いてもオレは楽しかった。





「だけど胡瓜はつるについていたんだろ?」
「ううん、落ちてたよ?」
悪戯っぽく笑うカカシがオレは大好きなんだ…





いつかオレをど田舎村に連れていきたいといった。
カカシの子供の頃の話をまた聞きたいな。




FIN.

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