カカサス4
□職場訪問完全版
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おれはちっとも気にしてなかったのに…
カカシさんがお詫びだといって、職場近くの焼き肉屋へ連れてきてくれた。
二人掛けの小さなテーブルには、小さな焼き網がついているのだった。
ランチ二つと頼んだメニューは肉のお皿と、ライスとスープとキムチがついてきた。
キムチはカカシさんにあげた…
嬉しいな。
ほんとは肉とごはんが大好きなの。
おれがそういったら、カカシさんはやっと溶けるように笑った。
タレにつけた肉を、ごはんで夢中で食べるのを、細い目で笑って見てた。
だけどすこし元気がないような気がする…
おれはじぶんの肉を、カカシさんのタレの中に入れてあげた。
元気だして。
カカシさん。
カカシさんはおれの肉を食べて、おいしいよといってくれたけど。
もしかしてカカシさん。
おれが知らないお兄さんと、お話したの怒ってるの?
カカシさんのぽっかり開いた目がすこしくたびれていた。
そうじゃないんだよ。
オレは自分に怒っているんだよ。
サスケを危ない目に遇わせてしまった。
オレはサスケが思ってるより、カッコよくもなんともないんだよ。
オレのこの左目が、
サスケを狙う悪い大人を見分けられればいいのに。
ほんとにごめんなさい…
そうだろうか。
すこし煙たいこの小さなお店で、小さなテーブルでくたびれて座っているカカシさんが、おれにはとてもかっこよかったのに。
おれがそういったら、カカシさんは前が見えないような細い目で笑った。
あと十年経ったら、もう一度いってくれる?
十年経っても、オレはきょうの事を忘れはしない。
FIN.