カカサス4

□幸福のひと2
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とある街でイタチに遇った時散々にボコられた。
だけどある程度オレの想定内だった。当時イタチは17歳。まだオレは敵わないと冷静に読んでいたつもりだった。





だけど、オレは気付かないだけで屈辱を感じていたんだろうな。
カカシはそれに気付いていたのか。
その後病院の屋上でナルトとやり合った後、カカシにワイヤーで縛られて説教された。
それは、カカシの初めての暴力らしい暴力で、オレはもちろん恐怖を感じたけどそれ以外のなにかも感じていた…
ワイヤーをぷつんと解き放った後で、カカシはなぜかオレのシャツを脱がせて忍犬に嗅がせていた。





「…なにしてるんだよ…」
カカシは少し悲しげな顔でオレに振り向いた。
サスケはオレなんかにあんな事されて、屈辱と怒りを感じていたでしょう。
その匂いを忍犬に覚えさせているんです。
今度イタチと遇ってボコられた時、忍犬を自動的に口寄せできるようにね。
そうして、サスケを守ってくれるようにね。





カカシはオレが里抜けするのを気付いているんだ。
カカシに申し訳ない気持ちだったけどオレは「なんでボコられるほうしか想定できないんだよ」とカカシを小突いたけれど。
忍犬が発動する事はまたもないだろう…





里に戻った時オレ達は固く固く抱き合った…
絞め殺す勢いでオレを抱きながらカカシは性急に囁くのだった。
なんで、なんで、こんなに時間がかかったんだろう。
サスケは確かにイタチに遇ったはずなのに…。きみの性格ならすぐにでもイタチに遇わずにいられないはずなのに。
なんで忍犬が発動しなかったんだろう…





「さ−。あんたの腕じゃね−の?」
オレはくすりと笑ったけど、すぐに照れて下を向いてしまった。
カカシはしばらく、じっとオレの顔を見ていたけど…急に腕を離すと嗅覚で調べる、がらくたを置いてあるローマ部屋へ入って当時のオレのシャツを嗅いだ。
忍犬ほどではないがカカシも鼻が利く。
尖った鼻でシャツを嗅がれるのは大人になっても恥ずかしいものがあった。
カカシがふふっと笑った。
「これは…屈辱の匂いではないですね…」





「欲情…しましたか?」
「……」
「オレにワイヤーで縛られて欲情しちゃった?」





だったら忍犬が発動する訳ないよね。
サスケが本気で抱かれたいと思うのはオレだけですものね。
…オレはそんなませたガキじゃねぇと叱りつけようとしたけれど、カカシがあんまり幸せそうで黙っていた。




FIN.
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