ナルサス2

□兄弟
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◇兄弟◇





※青いダックシリーズ。
※水月視点で。





去年も香燐とはさんざんな年だったなぁ。
〇ールデンボンバーのことで香燐に「でもこいつらが紅白で「女々しくて」を歌うのは三度目だよね」といったら、「ばかやろう、そこがいいんじゃねぇか」と殴られた。
〇ールデンボンバーって紅白ではそういうポジションみたいだ。





早朝の初詣ででボクは寒さとカッコよさを天秤にかけて、カッコよさを取ってロックに細身のジーンズで決めた。
カッコいいことだけがロックだと思う。寒い境内で並びながら刺すような冷気に堪えていたけどふと行列の少し先にサスケの姿を見つけてボクの口元はにやりとほころんだ。ボクって本当にサスケが好きだ。
サスケは銀髪の男と並んでいる…。二人共分厚いコートを着ている。サスケの恋人の後ろ姿を見たのはボクは初めてだ。
行列が少し動くと、二人も同じだけ先に進んだ。サスケの恋人の顔が見えないかなぁ。
ボクは長い行列に退屈して、うねうねと続く後ろの行列を振り返ったりするのだけど、二人はそんなことはなかった。ただ仲良く二人並んで何事か話していたみたいだ。
こんな時、ボクの邪魔をするナルトはブラスバンド部のニューイヤーコンサートでいない。今日こそサスケの恋人の顔が見れちゃうかもね。
ボクはスナイパーのように二人の姿を盗み見していたんだけど三つあるお宮を回って、同じタイミングで鈴を鳴らして柏手を打つ二人は恋人同士にしか見えなかったなぁ。
ボクはロックを意識してめっさ重い割に寒いジャケットを着たりするんだけどサスケはスライバーニットの軽い上質なグレーのコートを着ていた。きっとあの人に買ってもらったんだろう。あの人はくたびれた黒の綿入りジャケットを着ていたけど。
そんなあの人の気配りは二人の服装から伝わったねぇ。





やっとお参りから解放されてボクは売店で「やぁ」とサスケに声をかけた。
サスケは少し青ざめた顔でボクを見た。相変わらず可愛いなぁ。
あの人はお守りを物色するのに夢中でまだ顔を見ることはできなかったけど。
その時襟首をつかまれてぎょっとして振り向くとナルトが立っていた。いつ湧いて出たんだ。
ナルトはボクには怖い顔を見せたけど、サスケには優しく微笑んだ。
「サスケ、大丈夫だ。邪魔者はオレが連れて帰っから」
「だけど、コンサートは大丈夫なのか…」
「大丈夫だ。オレの身体は、まだ遠征先のホテルにいる。ここにいるのはオレの心だ」
そうして信頼の目でナルトを見つめるサスケにこう続けた。
「サスケ、おまえの恋がこの先どうなってもオレはずっとおまえを愛している」





この時ボクは初めて思ったんだ。
この二人ってわけありで実は兄弟なんじゃないかって。または遠い昔兄弟だったんじゃないかって。
どんな時もサスケを守るナルトを兄のように信頼するサスケを見るとボクには急にそう思えたんだ。ボクなんてそんな少女趣味なキャラじゃなかったけど。




FIN.

 

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