七つの大罪2

□風
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■風■





※バン視点で。





台風の日もオレは団ちょの家を見張り…見守った。
愛する団ちょのため。
団ちょの家からは団ちょの保護者のあの兄貴と団ちょの言い争いの声がした。





「だって、台風がくるのはきょうの夜中じゃないか」
「台風の被害の報告がないか、一応詰めてなきゃいけないんだよ」





「じゃ、せめて毛布持ってって」
うんうん。夜は冷え込むからな。優しいな団ちょ。





「毛布は詰所にあるよ」
「じゃ、コ−ヒ−を持ってって」
「それも詰所にあるよ」
空気読まね−な兄貴。
団ちょはあんたを引き止めたいんだよ。
たまらず玄関に飛び出したらあの兄貴が出て行くところでオレに「早く帰りなさいよ」なんて声をかけてった。
玄関にしょんぼり残された団ちょ。
泣くんじゃない団ちょ。
思わず玄関の上がり口に腰かけたら団ちょがぽつんと呟いた。





「台風の見回りってなにをするんだろうな…」





「オレ見た事あるよ。増水しそうな河川の水をポンプで吸い上げるんだよ」
ふ−ん、と呟いて団ちょも座った。





「吸い上げた水をどうするんだろうな」
「さ−。上流に流すんじゃね?」
ははは、と団ちょが笑った。





「ほんとにバカだなおまえ。それじゃ意味がね−だろ」





団ちょの笑顔を見るとオレのストーカーの疲れも消えてゆくのだった…(笑)
オレ達はまだガキで土木の知識もなかったけど、座り込んだまま大人の仕事についてあれこれ喋った。
時間さえも忘れていたぜ。
そしたらいつか夜中になっていて。





台風は過ぎ去って熱帯低気圧とやらになったと、
テレビでいってた。
外には強いあたたかい風が吹いていた。




FIN.
 

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