猫カカサス
□だいすき
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自信をつけたサスケはいつか、オレとサクラちゃんが飛び乗るチェストに飛び上がれるようになった。
一人遊びが大好きになって、障子を派手に裂いて、サスケだけはこんな事をしねぇと思い込んでいたにんげんを嘆かせた。
見通し甘いってばよ。
まだサスケは外には出れねぇけど、いつか三人で外で遊びまくる日もくるだろう。
いっぱい遊ぼうなサスケ…
◆だいすき◆
サスケのお気に入りの場所は、カカシがいつも昼寝をする南側の部屋だった。
そこのチェストと藤の椅子がサスケの定位置になった。
おもえばオレ達も、はじめはカカシの側で遊んでいたんだな…
なんか恥ずかしいぜ。
カカシはサスケがうるさかったろうに。無理していたのか爆睡していたのかほとんど動かないで寝ていた。
ドテッとでっかい白い身体を仰向けにして。
そして寝ているのに飽きたように、ムクリと起きたんだ。
サスケは一人遊びに夢中になりすぎてて、カカシの存在にはじめて気づいたようだった…
「あっ、おとうさんだっ!」
「おとうさぁん!!」
サスケの眼がキラキラ輝いてた。喜びを爆発させるようにチェストからカカシにダイブしたんだ。
サスケェ!無理無理無理だってばよ!!
カカシは…
カカシはよけなかった。
まだボーッとしていたのか、軽いサスケの体重を勘定していたのか。
とにかくよけられるのによけなかった。
サスケを受け止めてドターッと倒れ込んだ…
「お…おとうさん、ごめんなさい」
押しつぶしたカカシに乗ったまま、サスケはしゅんとして耳を垂れた…
カカシの眼が閉じられて、開かなかったんだ。
「ごめんなさい…」
ペロペロとカカシのピンクの舌がサスケの顔を舐めた。
「だいじょうぶだよ。サスケがあんまり強いから、びっくりしただけ」
サスケが誇らしげな顔に戻って、また一人遊びを始めたっけ…
痛いなら怖い顔をしてサスケを睨めばよかった。
そしたらサスケは学習して、二度とおなじ事はしなくなるだろう。
だけどカカシはそれをしなかった…
いつまでも。
FIN.
※挿絵「虹。」黒崎萌ちゃん。
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