ナルサス

□花
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◇花◇





アカデミーの花壇にポットのパンジーの花を植えた。
「あの子は趣味がないけど、ああいう土いじりは好きなんですよ」とイルカ先生が同僚に笑っていた。
「卒業したら、アカデミーの用務員にでもなるのか」と、同期のやつらは冷やかした。
うるせーし(笑)





サスケは、ただの優等生ではなかった。
時にはこっそりカカシ先生の家で「アカデミーに行くのが嫌だ」と泣いた。
オレはその様子をカカシ先生の家で見張り…見守りながらサスケが哀れでグスッと鼻を鳴らした。
アカデミーでは黙っていたけど、うちはの事件はサスケのトラウマとしてずっと残った…





ポンポンと土をならして咲き乱れるパンジーに見とれた。
きれいな花を、サスケに見せたかった。
そして心を癒して欲しかった。





暗部といっても全然大した事なくて、カカシ先生はいつもオレが外で見張っているのに気づかなかった。
サスケはアカデミーでは澄ました顔をしていて、教師にも愚痴をこぼした事などなかったのに。
カカシ先生だけにはアカデミーでの嫌な事をチクった。
それはサスケにはとても勇気の要る事だったろう…





「学校へは行きなさい」
カカシ先生はいつもの顔で、おざなりにいうだけだった。
サスケはアカデミーに行きたくないのではなく、ちょっと味方になって欲しかっただけなのだと思う。
げんにサスケは毎日アカデミーには登校してる…
それが解らない大人にサスケは青ざめた。
「宿題があるから帰る」って、カカシ先生の玄関を出た。
その後ろ姿を見ると、こんな大人に打ち明けたのを後悔してた。
それでもやはり明日もここへきてしまうやり切れなさを感じた。
こんな人しかサスケは持っていなかったのだ…
グスッと鼻を鳴らした。





オレが味方になるから。
オレがいっから、大丈夫だってばよ…
サスケのちいさな後ろ姿に、オレは制裁を誓った。





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