カカサス2
□形見/子供の喧嘩
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◇形見◇
あの子がオレの三つ又のクナイを狙ってた。
きょういうか、明日いうかといつも楽しみにしてたんだけど。
あの子の部屋で忍具を見せてあげても子供っぽい消え入るようなため息をつくだけで。
なかなか欲しいといいだせないんだ。
告白を待っているんですけど(笑)
始めはそれほどでもなかったけど、これが四代目の形見だと聞いてからあの子の目の色が変わった。
きょうもキラキラ光るそれを手に取って眺めていたけど、やっぱり欲しいとはいえないんだ。
だけど欲しいんでしょう?
あの子が心を当てられた驚きでオレを見てた。
唇にチューしてちょうだい。
そしたらサスケに、なんでもあげちゃうよ…
オレは笑っていたけどあの子は真っ赤になってしまって。
ちょっと目尻に涙がにじんで可哀相だった。
こんなに小さくても、キスの意味は解るんだ。
でもね、オレは身もとろけそうにきみが大好きだから。
四代目の形見とキス一つでは、不条理な取り引きではないと思うんですけど?
嘘だよ。
だったら、オレの弟子になって。
こういうのは、弟子から弟子に受け継がれるものだからね。
うん。
サスケ、カカシさんの弟子になる。
だからこれをサスケにちょうだい。
良くできました。
真っ赤になったままのあの子の頭をポンポン叩いて、オレの心はまたも溶けていたんだ…
弟子になったあの子はかいがいしく、オレに冷たいお茶を運んだり忍靴を磨いたりしてくれた。
それをフガクさんやイタチはうすら寒い眼で見ていた…
つまりオレは師匠として二人に認められていないという事だ。
いいんだけど(笑)
こんな小さい子を本気で弟子にしようとは思っていない。
今は昔と時代が違うんだ。
それでもあまり何も欲しがらないサスケが、どうして四代目のクナイをこうまでして欲しがったのかと思う、蝉が、ジージーうるさい夕暮れ。
あの子がこっそりあのクナイを持ち出して外へ出ていったのを、オレは悪趣味に尾けてみた。
なんの事はない。
いつも通りにナルトが玄関を覗いていて、あの子はナルトに用があるのだった…
あの子が四代目のクナイを、おどおどしているナルトに渡した…
今はまだいえないの。
これを大事に持っていて。
そしたらいつかね、解る日がくるから…
サ…サスケのか?
ううん、カカシさんのなの。
あ、あいつのか…
オレはここまで聞いて笑みがこぼれて、うちはの家に戻った。
おそらくサスケは、大人から盗み聞きして、ナルトの父親が四代目と知っていたんだろう…
もともとはナルトの持ち物になるものだ。
収まるべくして収まった形だ。
サスケはこれをする為だけに、オレに身を売ったんだろう…(笑)
そんな優しいサスケが大好きだったよ。
オレはとてもサスケの特別になりたかった。
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