story

□シャイン
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いつだってお前は、

まぶしすぎるんだ。




シャイン




「ねぇ、」


床に横たわる亜久津を足で突いてみた。


「ねぇってば。」


腕を縛られた亜久津は、目だけで俺を見た。

ギロリ。そんな音がぴったりの、可愛い可愛い亜久津の目。


「あ、まだ死んでなかったんだ。」


アハハ。

口先だけで笑ってから、彼の銀髪を掴んで頭を持ち上げた。


「生意気なんだよ、あっくんは。」


笑みを浮かべたまま俺はまた亜久津を殴った。

キレイな形をした唇の端から、また血が出た。






亜久津は俺に屈しようとはしなかった。

絶対に、屈しようとはしなかった。

ただ、ぎらぎらと俺を睨み、決して、俺に従属しようとはしなかった。

俺は焦った。

テニスでこいつに勝てないことぐらいはわかっていた。

だから庇護下におこうとした。

おくことで、亜久津を、支配できると思った。




でも無理だ。

何度やっても、無理だ。




亜久津は、

誰にも属そうとしない。











「…ほんと、」


体中のいたるところから血を流し痣をつくり横たわる亜久津に、寄り添うようにして俺も寝そべる。


「お前はまぶしすぎる。」


ぎゅっ、と、抱きしめた。


俺のものにはなりもしないことくらい、とうの昔にわかっていたというのに。


さんざん亜久津を殴ったあとで、彼を、抱きしめずには、いられなかった。






end

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