ONE/OUTS
□@outs
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「渡久地、吸いすぎ」
すぽっとくわえていた煙草を指で引き抜かれる。
途端に東亜の機嫌が悪くなる。
「返せよっ」
出口は手を伸ばして来た東亜を上手く交わし、更に煙草を頭上に持ち上げた。
ちっ、と舌打ちが聞こえた。
諦めた訳ではないが動くのが面倒な東亜は不服そうに眉を寄せた。
「吸いすぎだっつぅの、おめぇ〜は。スポーツ選手なんだから、もちっと身体に気を遣えっ、うわぁっちぃ!!」
どうやら、奪い取った煙草はまだ火が付いたままだった為に、灰が出口の頭に落ちてきた様だ。
慌てて頭に落ちた灰を払っている。
「あ〜あ、禿げたな。くくく」
ざまあみろ、と笑ってやると、お前のせいだと飛び掛かってきた。
咄嗟に身体を避けようとしたが間に合わなかった。二人は身体をもつれさせ床に倒れた。
微妙な空気が流れる。出口は東亜の身体を挟むように手を付いて、その下に東亜は仰向けになって寝ている。出口は慌てて東亜の頭に手をやった。
「わ、わりぃ。ケガ、ないか?」
心配そうに顔を覗き込んで来る。
「あぁ。なんともない」
「そ、そうか」
ほっとした様子で出口は胸を撫で下ろす。
「早く、どけよ」
「ん?あ、あぁ、わりぃ」
慌てた出口は身体を起こして、同時に東亜にも腕を伸ばし、東亜を引き起こそうとした。
「ぬわあっぁあ?」
出口は東亜に腕を伸ばした。その腕に、東亜も腕を伸ばして出口の手首を掴んだ。
東亜は掴んだ出口の腕を思いっきり引っ張った。
勿論、出口は東亜にのし掛かる様に重なった。
「煙草の代わり………くれよ」
東亜は悪戯っぽく笑うとそっと腕を出口の首に回した。
「なんだ、やけに甘えるな」
「いいだろ。好きだろ、こういうの」
東亜はくつくつ声を圧し殺して笑う。
「あぁ」
いつもこんなだったらいいのになぁ、なんて思いながら、出口は東亜の唇に自分のそれを重ね合わせた。