ONE/OUTS

□Aouts
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東亜がぬいぐるみを貰った。


「ぶっさいくだなぁ」



リカオンズのマスコットのぬいぐるみを抱いている東亜はちょっと可愛かった。


「そう、言うなよ。せっかくの完全試合のご褒美なんだし」



出口は東亜の隣に座りぬいぐるみの頭を撫でている。



試合は東亜の完全試合。相手チームは誰一人塁に出ることなく、リカオンズの圧勝。


そのまま、出口の部屋になだれ込みいつもの二人っきりの打ち上げ。


いい感じに酒も入り、気分の良い二人は並んでソファに凭れかかっている。



「だっせぇだろ」



このユニフォームとか、と言いながらぬいぐるみが来ている服を摘まんで引っ張る。



「それ、ゆうなよ
俺たちも着てんだし」



がっくり肩を落としてソファに沈み込む。



「なぁ、そんなことより……」



東亜がぬいぐるみを膝に乗せたまま、と言うよりはもうその存在を忘れてしまったかの様な扱いにも見えるが、出口に顔を寄せて来た。


出口の口元をじっと見て、東亜はキスした。




そっと触れ合うだけのキス。


互いにそんなもので満足になんてならないのを知っている。





キスはどちらからとなく深くなっていく。


こうなればあとは止まらなくなってしまうから、先に出口はベッドへと促した。


東亜もそれに逆らうことなく従った。



出口は乱暴に東亜をベッドに押し倒し、重なった。



上から見下ろす眺めは、征服欲を掻き立てる。



東亜がそっと手を伸ばして出口の顔に触れる。



そのまま、またキス。



出口は東亜の着ているシャツの裾を上がる所まで捲り上げ、肌を撫でる。



東亜は出口と抱き合う様になって彼から与えられる愛撫が気に入っていた。



大きな手で撫でられていると気持ちがいいのだ。




もっと、とねだるように身体を捻り、総てを晒す代わりに総てを触らせる。




「んあっ」




出口の指が乳首を掠めた。



そういえば乳首に触れたことは今までなかったな、と互いに思う。



東亜にしてみれば、今まで性急なセックスしかしたことがないから自分のそこでの反応を知らなかった。



咄嗟にまずいと思ったが遅かったみたいだ。



ほんの一瞬だったが動揺を顔に出していた。


出口は見逃さなかった。


東亜の反応とその瞬間の顔を。



普段から鉄壁のポーカーフェイス、それが緩む瞬間をいつだって待っているのだ。




お互い顔を見合せた瞬間、相手の次の行動を予測して動く。



東亜は勿論胸を隠すように腕を下ろして、しかし一瞬早かった出口にその腕は左右に広げて縫い止められた。



ちっ、と舌打ちが聞こえた。




「いやか、乳首?」



言うなよ、バカと顔を横に向けた。



出口は不思議に思った。



あれだけ、快楽に従順な東亜が何故乳首を嫌がるのか。




「やめとく?」





「……だから、アンタさ、いちいち了解得んなって」




「いや、だって、いつもと反応違うし」



なんかあんのかと思ってとぶつぶつ呟く。




「いいよ。アンタになら」




くそっ。女みたいで嫌だったなんて言わない。



絶対に。




弱みなんて態度だけで十分だ。




出口はそっとキスするようにそこに口付けた。




「あ、……っ……ん」




やっぱ出口が一番危険だ。




いくら突き離そうとしてもしぶとく着いてくる。



着いてくるだけならまだいいが、入り込んで来る。



身体も心も、甘く溶ける様だ。








早く、ここから離れないと……







fin .





リカオンズマスコット


名前はあるのか



今は東亜の代わりに



出口の腕の中で




眠る









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