ONE/OUTS

□ワンストライク
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出口と東亜は試合を終えて、今日もいつもと変わらぬ夜を過ごしていた。




出口は四つん這いになった東亜の腰をしっかり支えて腰を何度も動かしていた。



ベッドは二人分の体重を受けてギシギシとしんどそうな音をたてている。



東亜の中は熱い出口を収めていっぱいいっぱいに広がっていた。



緩慢な動きだが、奥の深く感じるところを確実に擦り上げていく。



ぐりぐりとしこりを押し潰すようなその動きに合わせて東亜の口からは嬌声が上がる。



東亜の乱れる姿を自分だけが知っている。



そう思うと出口は優越感に浸らずにはいられなかった。



同時に征服欲も掻き立てられるから、何とかして東亜を攻略しようと抱く毎に出口の動きは激しさを増していった。



東亜の内側を絡めとりながら腰を引き抜く。





ギリギリまで抜いてから、一番反応のいい一ヶ所を目指して一気に貫いた。




それが良いのか背をしならせて名前を呼んでくる。




「んあぁ、いでぐぅ、んぅ、ぃあっ」




「もぅっ、っと、だ…、いでぐち、んんあぁっ」




いつもは名前なんて呼ばないのに。












動きは確実に東亜を追い詰めて行くがまだ登り詰めるのには決定的な何かが足りない。




それでも与えられる快感に溺れ貪る東亜の嬌声は室内に厭らしく響いた。




「んああっ」



「くっ、ふぅん」




腰はびくびくと震えついには肘を付いて身体を支え出した。



頭を枕に埋め背中をしならせ、腰を高く突き出す。




早く決定的なものが欲しい東亜は自分の恥態を省みない。




だがゆるゆるとスピードを落とす出口。




東亜が満足しないのを知ってわざと仕掛ける。




「おい、あんたっ」




東亜は顔を後ろに向け、焦らす出口を思い切り睨んだ。





反応は無い。





寧ろ下を向いている出口を睨んでも効果は少ない。




東亜は身体を起こそうとした。




だが出口が覆い被さるようにして抱きついて来た。



まるで駄々をこねる子供のようだ。


ぎゅっと締め付けてくる腕に手を掛けて、ほどこうとしたが無理だった。




出口は東亜の手を掴んで更に強く抱きしめて来た。




うなじに顔を押し付けられてそこへ唇を押し宛てて来た。




出口は前戯に時間をかけたがる。




東亜もそれには慣れたが出口は更に直ぐに最後を迎えようとしない。




東亜は中に入っている出口を抜こうと体制を変えようとしたがその動きも出口に止められた。



少しの間だけ黙ってじっとしていたが、直ぐに我慢が切れて本気で腕を振りほどこうと出口の身体ごと突き飛ばした。




「んあぁっっ!!!」




突き飛ばした腕を捕まれて中途半端な態勢のままずんっと奥を突かれた。



ずくんっと今までにない衝撃に東亜は腰から落ちそうになり出口に支えられる。




「いでっ、……んっっ、ぐちぃっ、…やっ、…んめっ」



その態勢のまま出口は東亜の良いところばかりを集中的に攻めた。




自分で身体を支えなければならないこの態勢は足から腹に力が入るから余計に締め付けてしまう。





安定の悪いベッドの上では尚更の事。





「そこぉ、ばっか、んっ、やめっ」




快楽に弱い自身はある。



けれど甘い空気はいらない。



ただ抱いてくれればいい。





東亜の方が出口に翻弄されているのか。



歯噛みしたいが口を閉じる事が出来ない東亜。







今から1ヶ月程前…あの日から二人の関係が始まった。





試合もミーティングも終わり、身支度も整えた出口は最後の鍵閉めのため、ロッカールーム内を見回していた。




まだ一人着替えどころかロッカールームにさえ戻っていない者がいた。




東亜だった。




「渡久地のやつ、なにやってんだよ…
ミーティングもいなかったくせに
先に帰ったんじゃねぇのかよ」




ぶつぶつと誰に言うでもなく文句を垂れながら手近なパイプイスに腰を降ろした。




出口は東亜の帰りを待っていた。




本来待つ必要など全くなかったのに。





それがそもそも間違いの始まりになったのだった。




「くそ〜っ、あいつ、おっそいなぁ。
なにやってんだぁ?」




既に待つこと30分。



ぼうっとしているのに飽きてきた出口は誰かが置いて行ったであろう雑誌をパラパラと捲っていた。



少しは気が紛れたが、特に読みたい記事はなかったから文字の羅列を追っていると、眠気を誘われた。



疲れた身体では逆らうことも出来ずにうとうとと机に突っ伏してうたた寝を始めてしまったのだ。



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