HighWayRadio ONAIR

□1章:美好への依頼
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先週行われた進級テストの結果が返ってきた。いつもどうり学年トップを維持している。ただ……
「美好ぃ!テストどうだった!?」
「えっ!?あっ、ああ、テストね。一位だったよ。」
「へー、また桜春は一位か〜」
「俺たちと何がちがうんだ!」
みんなは私が毎回一位をとっていても妬んだりしない。いつもごく普通に接してくれる。ただ……。

家には帰りたくなかった

「ただいま。お父様。」
「ああ、美好か。テストの結果返ってきたんだろ。見せなさい。」
「………はい。お父様。」
家では決して父に逆らえない。逆らえる人はいない。
「……なんだ美好、この結果は……。」
「……ちゃんと一位は維持しています。」
「そんなのは当たり前だ!!俺は点数を言ってるんだ!!」
今回の点数。496点。前回より2点下がった。
「しかし、今回は少々前回より難しくなっていました。平均点も前回より下がってますし、偏差値はむしろ前より上がっているぐらいです。」
精一杯の反論をしてみる。しかし無駄だとは分かっている。
「馬鹿野郎!!一番分かりやすい結果は結局点数だろ!なのに二点も下がりよって恥ずかしくないのか!?おまえは桜春グループの後継者なんだぞ!!それなのにおまえは私の顔に泥でも塗る気か!!」
「すみません。お父様。」
できればいっそのこと顔に糞でも塗ってやりたいぐらいである。桜春グループは日本でも五本指にはいる大企業。私はそこの社長の一人娘である。将来は既に決められている。決して私が選んだわけではない。
「前回と同じならまだしも下がっているなんて言語道断だ。もし次のテストでまた下がったら塾をまた一つ増やすからな」
反論は無駄である。ちなみに今は七ヵ所の塾に通っている。もちろん休みなど無い。いつも寝るのは夜中二時ぐらいである。そして起床は六時。今ではなれたが、はじめの頃はさすがにキツかった。しかし、さらにまた一つ塾を増やされるとまた睡眠時間が減ってしまう。しかし父の言うことは絶対である。逆らうことはできない。
「………いいな!美好!」
「はい。お父様。」
やっと長々とした説教が終わった。あれこれ一時間たっている。急がないと塾が始まってしまう。急いで準備しなくては。美好は急いで二階の自分の部屋に行った。美好の家は無駄に広い。自分の部屋に辿り着くのにかなり時間がかかる。といっても二分ほどだが。美好は部屋につくと急いで塾の準備をした。すると机の上から一枚の便箋が落ちた。
「……こんなものあったっけ?」
ピンクの花柄の便箋の裏には確かに桜春美好様と書いてあった。なんの躊躇もなく、美好は封を開けた。そこには一枚の紙が入っていた。
「なにこれ?誰からだろう。」
美好はその紙を開き、読んでみた。
『桜春美好様
いきなりの手紙にさぞかし驚かれているでしょう。いきなりですが、あなたをご招待いたします。下記の連絡先にお問い合わせください。』
下にはしっかり電話番号が書かれていた。しかし名前と思われるものは何処にも書いていなかった。こうしている間にも時間は刻一刻と過ぎている。美好はとりあえずその手紙も鞄に入れ、急いで家を出た。
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