短編
□お酒とキス
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緑「ヒロトーちゅーしよぉー」
いつもツンデレで素直になれない緑川
そんな彼からはありえない言葉が出てきて、一緒思考が停止する。
基「…え、もう一回言って?」
緑「だぁーかぁーらーちゅーだよー」
ふにゃふにゃとして、小さな子供みたく喋っていた。
基「緑川、どうしたの。熱でも出した?」
緑「ねつじゃないよぅー、お酒のんだー」
基「緑川、酒飲んだの!?…まだ未成年なのにどうして飲んだんだ?」
緑「姉さんが飲んでみろってー。」
少しばかり姉さんに呆れてしまった。
…昔から酒癖悪かったしなあ…………。
基「姉さんも全く……」
はあ、と小さいため息をつく。
緑「うー…ヒロトが意地悪するー!」
ぎゅうと後ろから抱き着く緑川。
……………何この可愛すぎる生き物。
緑川は、俺の目の前に座ってきた。随分と酔っているようで、顔をほんのりとピンク色に染めていた。
緑「ヒロトがしてくれないなら俺がするっ!!」
すると顔を近付け、緑川が俺の口を目掛けて軽いキスをする。
基「っ!?」
今のは不意打ちをくらった。
さすがの俺も動揺してしまった。
いや、緑川が俺にキスするなんてのは有り得ないし、いつも俺からな訳で、あまりこういう状況には馴れていなかった。
まあ緑川からしてくれるって言うなら大歓迎なんだけど。
俺の考えをよそに、緑川自身は満面の笑みを浮かべ、勝ち誇った表情をする。
………これが欲にいう”ドヤ顔“か。
緑「ヒロト顔赤いよー?」
…顔赤いもなにも、かなり今回の行動には動揺しましたよ。ええ。
してやったり、みたいな感じでドヤ顔をする緑川。…このままやられたままじゃ気が済まないので仕返しをする。
基「…そんなにしたいならご希望に沿えてキスしてあげるよ。もっと熱いキスをね………。」
逃げないように緑川の腰に右手を添え、左手で緑川の頬に触れる。
ちゅ、と軽くキスをして、そのまま口内に舌を入れる。…お酒の味とグレープフルーツの味の苦味が口の中に広がる。
いつもは抵抗する緑川が素直に受け入れるというか、緑川からも舌を絡ませあってくれるのが可愛くてしょうがなかった。
「ん………ふぁ………」
緑川もそろそろ苦しそうなので口を離すと名残惜しそうに糸がつう、とひく。
「…まだ…きすしたい……」
なにこの素直すぎる緑川。
苦しそうに呼吸してる癖にほんと何言ってるんだか………
顔を真っ赤にさせながら涙目な緑川に誘われてしまう。…でも駄目だ。これ以上したら俺の理性が確実に崩壊する。
「俺が危ないから駄目。」
すごく悲しそうな顔をしたので、心の中で…仕方ない。と思い、髪を掻き上げ額に軽くキスをした。
それに対し、びっくりした表情をする緑川。でもすぐに嬉しそうに微笑んだ。
「えへへ…なんか…こういうのってくすぐったいね………」
まさに天使だ。
抱きしめたい衝動に素直に動く。
俺が抱きしめてる中、緑川もそっと俺の背中に手をやる。
「…大好きだよ…ヒロト……」
緑川の愛の言葉を耳に聞き取る。…ああ、俺はなんて幸せ者なんだろう………
「俺も緑川の事が大好きだよ……」
たまにはこんな積極的も悪くないな
またお酒飲ませたいな…なんて