ここと異世界と繋ぐモノ。
□最初の来訪者
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いくつもあるという世界。
この世界って……。
……意外と、侵略されやすい?
――――
「寒い寒い寒い……! 夜ってさーむーいー!!」
「ば、バカッ! 引っ付くな!」
「……ぶるぶる」
「ライラちゃん、寒い? 一緒に毛布引っ被る?」
「うん……シルフィー、ぬくぬくしてる?」
「ライラちゃんだから、ぬくぬくしてるよ〜」
「ぬくぬく……私もかも?」
「コラ、そこ!! リア充か!」
「俺らもだ!」
「聞いてない!」
泣く子も黙る丑三つ時(?)の実験室。要するに夜中にぎゃいぎゃい騒ぐのは、いつも通り俺ら4英雄←
普通ならとっくに休んでいるが、今回は訳合って実験室にいる。言っておくが、決して何かの罰とかじゃない。
「……つーか。ホントにいるのか? ……幽霊って」
ブロッサムが手に持った紙……クエスト用紙を再確認する。
「クエスト名『謎の幽霊』。『実験室から変な声や人影が見えます。怖くてしかたありません。何とかしてください』、か……」
一通り読み終えるブロッサム。
読者にもわかりやすい解説ご苦労様←
「それって〜。たしか、魔術系学科の子が書いたんだっけ〜?」
「ああ。死霊使い学科の連中も、何人か見かけたって話らしい。というか、魔力の値が高い奴しか見かけねーって噂だ」
「魔力が高い……私は、見れない?」
「まあ……現に見れたのは、魔術系学科だけらしいしな」
知ってる情報を交換し、共有していく。
上記の説明通り、俺たちは魔力が高い奴しか見えない『幽霊』の存在に関わるクエストを受けた。
つーかホントに『幽霊』か、という疑問もあるけど。
「なんかベタなクエストだけど……ホントにいるのかよ。よりによってプリシアナ学院に」
「あー……たしかに、セントウレアとかが浄化してそうだよな」
「だよな……ってアユミ、校長を呼び捨て……」
恐ろしいげな表情で俺を見ているブロッサム。
だって腹黒権力天使兄弟に敬いとかねーし!
「意外と気づいてないかもしれないよ? ほら。悪くない幽霊さんなら、校長先生も見逃してるかもだし」
「悪くない幽霊……無邪気な子供とか?」
「いや、そーいうのが一番悪霊とかになりやすいと思うんだけど」
適当に意見を言い合い、そろりと実験室を見て回る。
……べつに変わったところはない。夜中だから明かりは窓から注す月の光だけ。