ここと異世界と繋ぐモノ。
□赤毛のヒヨコの今後
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「いらっしゃい、みんな。そしてようこそ。異世界からのお客様」
「まだ何も説明してないんだけど!?」
「落ち着けって。……実は折り入って頼みたいことがあるんだけどよ……」
翌日。ルークに叩き起こしていただいた俺たちは、外出届け提出後、一直線にロアの元へ。
ロアの挨拶にブロッサムがツッコミを入れるが、ロアならなんでもありなので、無視して本題に早速入る。
「……なるほど。たしかに幽霊状態は大変だろうねぇ」
「ルークの……音素の分解? とかそういうのはまだイマイチわからないんだけど。でも消え失せるって問題だよな。何とかならねーか?」
タカチホの建物が珍しいか、辺りをキョロキョロしているルークに目を向ける。
ロアもルークを見ると「ふむ」と軽く唸る。
「……音素ってのが拡散する様子はないから、乖離って現象は起きないと思うけど。でも薄い感じだし、どう転ぶかわからないね」
「サラっと不吉なこと言うなよ……何とかならないか?」
「アハハ。ヤダな、俺は神だよ? 状態も解決策もわかったって」
「マジでか!!」
ブロッサムの心配すらもサラっと言って除けた辺りはさすがだな。
「……方法はまともだよな?」
「大丈夫だよ。依代一つあれば十分だから」
「……依代?」
コテン、と首を傾げたライラに「うん」とロアが頷く。
「聞けばレプリカって、第七音素って言うやつの塊みたいなものでしょ? で、それが拡散するのはそれが塊からボロボロこぼれて、だんだんとなくなるからで……」
「待て待て待て! いきなり専門用語言われても、規模が大きすぎるんだけど。もうちょっと身近なもので例えろよ! ブロッサムがパンクするだろ!」
「そこで俺を出すな! 腹立つから!!」
自分の学力のことを遠回しに言われたからか、涙目で俺に叫ぶブロッサム。
「身近なもの? んーと……つまりわかりやすい話、音素という水を固めた氷がレプリカ。そして固まった氷が溶けて形を失って、水になるのが乖離だよ」
ご丁寧にロアはどこからか図式を用意をし、指示棒で示しながら解説してくれた。
ブロッサムもわかりやすかったか、納得いったような顔をする。
「じゃあルークが乖離しない為には、音素を固めた状態を維持しなきゃダメってことか?」
「まあ、それも一つの手なんだけどね。でもこの世界に音素ないからそれは無理。というか、ルークの世界でも、それを防ぐ方法わからないんでしょ?」
「あ、ああ。そうだけど」