ここと異世界と繋ぐモノ。
□雪原からの来訪者
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約束の雪原
「ふわあ……いっぱいあるね〜」
「そ、そりゃ、モーディアル学園に届ける物品です、から……」
「復興をしなければ、生徒を募集できませんもの。ホント大変ですわよね。この方以外は」
「黙れ。そこで僕を指さすな」
リンツェ君が荷台にあるおっきな荷物を見ながら。ユリちゃんはその荷台を引くエデンを見ながら答えた。
モーディアル学園復興のお手伝いのため、今日のボクはドラッケン学園の二人と荷物を運んでいるエデン君といるんだ〜。
あ、ちなみにライラちゃんはタカチホ義塾の方を手伝ってるよ〜。
「くそっ……本当だったら今頃アユミをモーディアル学園にさらうはずだったのに……おのれ、あの黒天使め……」
とんでもなく不吉なことをサラっと言っちゃうエデン君。
というか、まだ諦めてなかったんだね、それ。
「まあ、あなた……私を差し置いてアユミをさらうなんて……そんなこと許しませんわよ」
「誰がおまえに許可を求める。アユミは僕のものだ」
「嫌ですわ。あの娘は私のお気に入りなんですもの」
「女のくせにアユミを狙う気か! 許さん! 許さんぞ!!」
「ふ、二人とも……ど、どうか落ち着いて……!」
一触即発の状態になる二人に、オロオロあわあわとしだすリンツェ君。
……たしかにこの二人、異常に仲が悪いもんね〜。
「リンツェ! おまえ、本当にこの女に何もされていないのか? 本当に無事なのか!?」
「ええ!? そ、それは……」
「人聞き悪いですわね。リンツェにそこまでの重労働はさせた覚えはありませんわ」
「ふん。どうだがな」
「あ、あの……」
うわぁ、すごい空気。
リンツェ君も間でどう仲裁しようか悩んでるや。
「リンツェ! おまえ、やっぱり僕の生徒会に来い! それがダメならクラスでもいい!」
「そ、それ……結局はモーディアル学園に転校しろってことじゃ……」
「そう言ってるんだ。この女といたら、いつかおまえが心労死するに決まってる」
「あなた、私をいったいなんだと思ってるのかしら?」
「アユミとリンツェの敵」
「…………。処分しますわ」
「返り討ちにしてくれる!」
「え、エデン!? ユリ様も!!?」
あちゃ〜。とうとう武器を取り出しちゃった。
「――エデン君って、なんだかんだでリンツェ君にも飛びきり優しいよね〜。よかったね、リンツェ君♪」
「は、はぅぅぅ……っ。……じゃなくって! シルフィーさんも傍観していないで助けてくださいぃぃぃっ!!」