回青橙の誇り

□雨の日の始まり
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ザァー…

「……あばよ、親父」


降りしきる雨。
青年は、墓前で呟いた。


「アイツらのことは
任せろ」


だから、


「そっちで親父と仲良く飲んでろ」






――――

「あー…終わった終わった」
『主よ、良いのか
あれで』


傍らを飛ぶ、鳥の形をした生き物が言う


「何が。」
『あのモノたちのことよ』
「ここは元々、神サマが住んでた場所だ。
人に危害を加えないなら祓う必要はないだろ」


そう言って、鳥の形の生き物を見上げる。


「それに、「神殺し」なんて大それた名前
オレには必要ねぇよ」
『主が良いなら構わぬが…』
「なら黙ってろ
さっさと帰ってメシ食って寝てェんだよ」


ガシガシ と乱暴に頭を掻いた青年に鳥の形をした生き物が言う


『その前に報告が先ぞ』
「……メンドい。」
『これは仕事であろう?』
「…今は夜だぜ?
あのピエロだって寝てらァ」
『起きておるぞ』
「……何で起きてんだよ…」
『主の報告を待っておるのであろう』
「……そこは寝とけよ
あのピエロ…!」


ギリギリ と音を立てて拳を握る青年に、鳥の形をした生き物はバサバサ… と音を立て、青年の肩に止まる


『主』
「………。」
『主、』
「……ったく、メンドくせぇな!」


舌打ちをした青年は再び乱暴に頭を掻いた後、明かりの灯る方へと向かって歩き始めた








END.

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