暗闇の中で…(上)
□プロローグ
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全身を鈍器で殴られたような痛みが走る。
意識が戻ったのだろう…
目がかすみ、焦点か合わなくなり、ただ深い闇を見つめている…
片側の肺が機能していないのだろうか? 息をすることすら辛かった…
後頭部から伝う滴は次第に地面に溜まり、仰向けの背中にまで達し冷たかった…
おそらくは助からない事を感じてはいたが、不思議と恐怖は感じられなかった…
夜空を見上げる事しか出来ない視界の中に…
真っ白いワンピースを着た少女が覗き込む…
薄れ行く意識の中で、狂喜する声と、サイレンの音だけが頭の中に響きわたっていた…