暗闇の中で…(上)
□【始まりの朝】
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「くそー寒いなー、」
今思えば、全ての始まりはこの日だった。
寒い朝、布団から抜け出し、ストーブのスイッチを入れる。
部屋が温まるまで、寒い部屋の中で過ごすのは辛く感じ、もう一度布団に転がりこむ。
布団から出ないように、床に転がったチャンネルに手を伸ばしテレビを付ける…
朝のニュース番組が写り、ちょうど天気予報がやっていた……。
「ホントかよ…どうしてこんな日に限って冬一番の冷え込みなんだよ」
ニュースアナウンサーの言った言葉を耳にして文句を言ってみたが、それで部屋が暖かくなるわけではなかった…
覚悟を決め布団から這い出てるが、結局はストーブにしがみつき、すぐに行動する事は無かった。
辺りを見ると…部屋はひどく散らかっていて、カップ麺や弁当の空き箱が転がっている。
女房が子供をつれて、実家に帰ってから、半年が過ぎた…
原因と言えば、営業職の為に家族と過ごす時間もないことと、俺の浮気だろう。
「しかし、最近はろくなもん食ってないなぁ…」
この半年は、外食以外コンビニ弁当と、カップ麺しか食った記憶がない。