暗闇の中で…(上)

□【警告】
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午前、午後と、いくつかの検査をこなしていく… 
 
とは言っても、外来患者もいれば、検査を受けるのは俺だけじゃなく、待ち時間長く、暇そのものであった。

この年になってナンパをするつもりなど無かったが、この空いた時間をどうにかしたいと看護婦さんに声をかけていた。

外来時間はさすがに忙しいせいか、相手をしてもらえる看護婦さんも少なく、何より調子が出ない…

時折、笑顔で応えてくれる子もいたが、それも仕事としての笑顔だと分かるほどよそよそしい雰囲気だった。

一つの検査が終わり、スケジュールを確認するも、次の検査までだいぶ時間が空いていた。

一度、病室まで戻ろうかとも思ったが、気分転換も含めて、ふらふらと院内を散策してみる。すると、見覚えのある場所に出た…

 
…ここは……
 
そこは、昨夜、あの声に導かれ、通った場所と似ていた… 

…たしか、ここを通ったな… 
…そう確か……この先…この階段を下って…

曖昧な記憶だったが、微かな記憶を元に進んでみた…

一歩一歩あの部屋に近づくにつれ、心拍数が上がっていく…

心のどこかで現実には無い世界…
愛の言っていた【リアルと幻想の世界】との言葉が引っかかっていたのかもしれない…
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