暗闇の中で…(上)

□【鏡】
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その日の夜…

俺はずっと考えていた…
 
愛と名の少女…
 
手紙を残した老人…
 
無くなった病室…

何がどうなっているのかはっきり言ってわからない。
それがただの夢ではなく、何かが複雑に絡みついたモノに思えていた…
 
同時に変な胸騒ぎし、得体のしれない何かに飲み込まれているような不快感だけが残る…
 
…くそー変な事にかかわっちまった、ションベンでもして寝るかな…
 
俺は、このなんとも言えない気持ちを抑えるために一人夜のトイレに向かった。


用を済まし、手を洗い目の前の大きな鏡をみる…
 
「お、お前は……」
 
鏡の中に写る俺の肩越しに真っ白なワンピース姿の愛が立っている…
 

慌てて、振り向いたがそこにはただ、白い壁だけ…誰も居ない…
 
俺はもう一度、鏡の方を見た…
 
その中にはまだ、愛が居て、俺をじっと睨んでいた…
 
「な、なんだ、お前…気持ち悪いな…幽霊ってやつか?」
 
『違う…主を迎えに来た…』
 
「迎えに?俺は死ぬつもりねえぞ…」
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