〜絆〜
□ドーナツショップ
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「改めて自己紹介しないとだね。始めまして助清です。」
『あ…始めまして…こまめです…』
「…なんか変だね…」
『…はい…』
「緊張している?」
『…はい…』
「そっか…」
『ごめんなさい…』
「何が?」
『上手く話せなくて…』
「大丈夫だよ…」
『はい…』
小豆は、俺の目の前で顔を赤くしながら俯き、こちらから観察していても、肩に力が入っている様子で、今にも倒れそうな気がする。俺の動かす手や、体に小豆は敏感に反応し、ビクっと身を固める仕草がとても可愛く思えた…
必死に目線を上げようとする。それでも、俺の目を見ることが出来ず、再び目線をさげる。
その姿を見ながら、俺自身、不思議な感覚があった。
目の前に居る子が、いつも行くコンビニの店員だって事。
彼女は、ネットの中の俺も、私生活の俺も知っていた…
俺を知られている…その事実が胸の奥で気になっていた…
お互い、頼んだドーナツに手を付けないまま時間だけが過ぎる…