10000打企画

□惚れた弱みだよちくしょう
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※かわいそうまさん。




















それは休憩室での出来事だった。







「佐藤くんっ」
「八千代?」
「この間は杏子さんのプレゼント選びに付き合ってくれてありがとう!!」
「あぁ、日曜日の事か」


やっと休憩時間が回ってきて、休憩室に向かった俺が見たのは先に休みに行った佐藤くんと轟さんだった。


佐藤くん達は俺が居る事に気付いていない。


この間の日曜日…そっか、俺との約束は轟さんとの約束があったから断ったのか…。


………。


あ…あは、大丈夫大丈夫!!しょうがないよね!


俺と佐藤くんは恋人同士な訳だし全然へーき!!


それに…佐藤くんはいつもの事だし…。




「しかも夜ご飯まで奢ってもらって…」
「全然平気だって」



夜ご飯…夜まで居たんだ…。



「……なぁ、八千代」
「なぁに?さとーくん」
「今日…暇か?」


……っ



「え、何で?」
「いや、暇ならまた酒でも奢ってやるけど…」
「ほんと!?嬉しいっ…嬉しいけどさとーくんはいいの?」
「あぁ」



……あーあ、また浮気かよ。何回目だよちくしょー…。


………解ってるよ、女の子には勝てない事くらい。


…特に轟さんにはね。



「じゃあ今晩行きましょう」


あれ、?そういえば今日家来るって…。


さとーくん、言ってたよね?



「あぁ」



はぁ?

あぁ、そっか…。



「解った」






俺が我慢すればいいんだよね。




「っ………」



さとーくん、



「あっ佐藤くんそろそろ休憩終わりじゃなかったかしら」

「あぁ…、そうだったな」







さとーくんが床を踏む音。


休憩室を出れば当然俺の姿に気付く訳で、


さとーくんは目を見開きの小さな声で




「相馬?」

と、





「っ…さ、さとーくん交代だよ」

「あぁ、今から」

「いってらっしゃい…」
「おぅ」

「…………」

「………あ、それと」

「…さとーくん?」






「今日行けなくなった、ごめん」



うん

解ってる
解ってるよ















「そっか」








辛いのに





そう言って俺は笑った。























「とりあえず乾杯」
「乾杯ね」



バイト帰り、約束通り轟と飲みに来た。


恋人の相馬と先に家に行く約束をしていたが、ちゃんと断りを入れたから大丈夫。




「それできょーこさんが…」
「………」




やはり、後ろめたい気持ちぐらいにはなる。

後味は良くない。




でも、忘れられないのだ。





何せ四年越しの片思い、簡単に忘れろと言う方が無理だろう。


だから…。










だから?










「そういえば相馬くん最近笑わないわよね」

「え…?」


唐突に轟が話題を変えたので驚くのと同時に疑問。


何故相馬?

しかも笑わないって何だ?


「あいつが笑わねぇ日なんてあったか…?」

「…さとーくん本気?」


何だその反応。

何でそんなに驚くんだ。



「さとーくんなら気付いてると思ってたんだけど…」

「何…」

「何て言うのかしら…辛そうと言うより…悲しそうなのよ」


誰だそれは、


俺はそんな相馬知らない。



「少なくとも最近笑顔を見ないわ…、あ、後ね」





「今日さとーくんと入れ違いで相馬くんが来た時は」
















「酷く、泣きそうだったの」










頭が真っ白になった。


メールが来ていた。


愛が溢れていた。





差出人は見なくても解った。






「轟、ごめん」



「俺、行かなきゃ」






自分がどれだけ馬鹿だったか思い知った。

















「雨が降ってきたね(^_^)………送信っと」




佐藤くんにそうメールを送り、携帯を閉じる。


「……はぁ」


今頃、佐藤くんと轟さんは何してるんだろう。


バイト帰りになんて…時間、遅いのに。


………。


やっぱ、俺が佐藤くんとなんて最初から無理だったんだ。


最初から…。




「………………」


「………ーーーっ」




俺は、弱いな。


「っ、う」

「ひっく…」


佐藤くんの事を考えるだけで漏れる嗚咽。


辛い、よ。




佐藤くんじゃなきゃ、駄目だよ。




ピンポン



「ふぁ…?」




絶賛号泣中の俺に何のようだろう。



雑に目を擦って、確認もせずドアを開いた、







ら、










「…………っさと、くん」
「……相馬」






何…で、ここに、


声が出ない。







「………………ごめん」


は?


「俺……」



あ、


いやだ


ききたくない



「俺…実は今日な」

「や…だ」

「…轟と」

「やめて…」

「轟と、飲みに」

「やめてよ!!」



再び溢れだす涙。嗚咽。


佐藤くんの言葉一つで、俺のボロボロな理性は簡単に壊れた。




「なに!?さとーくんやっと俺に知られてる事気付いたんだ!?だから言い訳しに来たの!?いやさとーくんの事だから別れ話かな!?いいよ!!この際別れちゃう!?」

「相」

「もうやだよ許容範囲とっくに越えてるんだよ!!辛いの!!」

「相馬!!」






あ、


どうしよう、




嫌われた










「ふ、?」



ぎゅう…



………?

さとーく、ん?




「違う、んだ、違うんだ相馬」

「ちがう、って?」

「俺、轟から聞いて、そんなに傷付いてたなんて知らなくて」

「………」

「……ごめん」

「………う、ぅ」

「ごめん、相馬」

「ふっ、ぇ」

「治すから、絶対に」

「つら…かったよ」

「あぁ、」

「さとーくん」




さとーくんの匂いと雨の匂いがする。


さとーくんの体は冷たかったけど暖かくて、


酷く、安心した。


さとーくんが謝った。凄い進歩だ。


あれだけ、辛かったのに、

あれだけ、怒ってたのに、


簡単に許しちゃう俺は馬鹿なのだろう。



「次したら容赦しないよ」






久し振りに、笑った。






end

リクエストに添えてますかね…?な、何かgdgd

匿名様へ捧げます!リクエストありがとうございました!

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