book 3
□dislike name
1ページ/1ページ
寮に入って3時間
することがなくなった
部屋の片付けを済ませ
お昼ご飯も作って食べた
隣の部屋の人と友達になろうと思い
ノックしようとした瞬間
中から笑い声が聞こえてきた
話し声からして少なくとも3人
友達がこんなに早くできるなんて
と一人が言うと
違う人間が
これから仲良くしようね私たち3人
と言った
声はおそらく私と同性
今年の新入生の中で
この寮に入った者は6名
女と男が5:1
計算上残りのもう一人の女の子は
おそらく朝に見た
先輩方の部屋の方へ向かった人間
媚びを売るわけではないと信じたい
たった一人の男性は
昼食作りを手伝ってくれたイイ奴
大型犬のような性格の持ち主
髪は金髪すぎないクリーム色
にへっと笑うと可愛い気もする
だが彼曰く
僕は変態なのだそうだ
友人をつくる術がわからない
群がる人間と
異常と名乗る人間と
“ヒトリ”が
今ここいる
携帯電話が鳴った
画面は嫌な奴の名を示す
もしもし 俺
なに
今日入寮だろ?
だから なに
寂しかろうと思って
寂しくない
夜になれば寂しいぞ
今は昼だ
一人は辛いよな
家事はできる
そうゆうことじゃなくてさ
ならどうゆうことだ
んー 精神的に
私は強い 精神的に
そうかなー?
そうだ
あ、ごめん 呼ばれた
仕事中か なら切れ
寂しかったら電話しろよな
だから私は寂しくない
あと
なんだ 呼ばれているんだろう?
俺 好きだからな お前んこと じゃな
好き
嫌いな奴の名を呟くと
目から透明の液体がこぼれ落ちました
dislike name
(ほんとはすぐに会いたくて)