book 3
□last date
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彼女をマンションの前に迎えにゆく
すでに彼女は立っていた
女の子らしいワンピースを着ていた
彼女らしい可愛い格好
彼女は助手席に乗った
ごめんね、どれくらい待った？
と聞くと
ううん、さっき出てきたばっかだよ
と笑顔で言ってくれた
彼女を乗せる前
寒そうに手を擦り合わせているのを見た
彼女はとても優しい女の子
彼女が前々から行きたいと言っていた
水族館に今日は行くことになっている
彼女は子供のようにはしゃぎ
イルカにキスまでしてもらっていた
彼女のマンションの前まできた
彼女がシートベルトを外す
少し屈んで運転席を覗く彼女は
落ち着いた声で僕に別れを告げた
僕は助手席に手をつき
助手席の窓から彼女越しに空を見る
なんだか揺らいでいた
彼女はマンションへ消えてゆく
彼女の背中は無表情で
少しわからなくなった
運転席の窓から星空を見上げた
星ははっきりとは見えなかった
last date
(さようなら、と言った君の背中)