Book 1
□snow eve
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シャワー一緒に入ったから一枚上乗せね
おいおい それはちょっと…
なら別にいいですけど 次無いですよ
わ、わかったよ 払うよ
毎度あり xxさん
こんな時だけ名前で呼ぶのか… はぁ…
溜め息吐くと幸せ逃げちゃいますよ
溜め息は君のせいだろ
さぁ なんの事やらー
君なぁ…
あ ごめん 塾遅れちゃうからあたし帰るね
危ないから途中まで一緒に行こうか
いい 変なおじさんの扱いは慣れてるから
でもこの辺は…
じゃまたね 変態のxxおじさん♪
おいっ
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吐く息が白い
もう冬だ
昨日出したマフラーは
少しタンスの匂いが残っていた
制服の上着の右ポケットからメロディ9が流れた
単調な機械音 固定電話のような電子音
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│○11/14 22:37 (木) │
│From xx │
│Sub (non title) │
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│ xx、いまどこ? │
│ 今日うち親いないから来る? │
│ 彼氏の家に親居ないんだよ │
│ 来るに決まってるよねー │
│ │
│ あと近くにコンビニあったら │
│ コンドーム買ってきて ヨロシコ:) │
│ │
│ すぐ来るんだよ? │
│ 約束 指切りげんまんねー↓ │
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本文の下には
左手の小指の写メが添付されていた
指切りのつもりだろう
こいつも
あたしは塾にいってると思ってる
バカだ
なぜ見抜けないんだ こんな嘘
こんなやつら みんな バカだ
みんなxxなんだ
神様の涙の結晶がひらりと手に落ちた
snow eve
(画面に向けた霜焼けの小指)