Book 1
□ABC of happiness
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一番は君だ
そう言いながら
貴方は携帯のアドレス帳を私にみせた
No.001に私の名前があった
グループ分けには恋人と書かれていて
ハートマークがしるしになっていた
この人についてゆこう
と思ったのはこの時だった
ろうそくの数は三本
ふぅーっと息を吹きかけ
火を消そうとしているのは
三歳になる息子
ケーキ越しに火を消す瞬間の彼を映そうと
ビデオカメラを向けているのは貴方
私は笑顔で彼らを見つめ
右手は大きなお腹をさする
初めての新婦の親としての結婚式
彼女からの突然の手紙に
涙をこらえ微笑んで彼女の見つめる私
号泣して顔がぐしゃぐしゃな貴方
こんな父親に溜め息をつく息子は
隣に座らせた自分の息子の頭を撫でた
ある程度予想はしていたけれど
これほど泣くなんて思っていなかった
ABC of happiness
(これから二人っきりの時間)