Book 1
□first woman
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ある男はテレビを見つめている
もうすぐ今年が終わる
ブラウン管の中の人間はカウントダウンを始めた
10、9、8、…
ピンポーン
男の耳がピクリと動く
画面は数字の6を示す
ゆっくりと立ち上がった男は
めんどくさそうに玄関に向かう
男が鍵を開けようとしたとき
もう一度チャイムが鳴らされた
男の苛立ちが少し大きくなる
扉を開けると、よほど寒かったのか
鼻を赤くしている女が立っていた
女は男に何か言い、抱き付いた
ドアは自然に閉まっていった
女は言う
「貴方の目に入る今年初めての人間が
あたしでありたいと思ったの」
first woman
(寒い中、貴方の部屋に走った)