Book 1
□calm snow
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夜寝ていて 夜中起きたら
メールがきていた
<雪降ってるよ> って
あぁ なんて残念なんだ
と 今年もまた思う
雪にはあまりいい記憶がない
昔飼ってたハムスターは
雪の日に亡くなった
朝から大雪なのに休校にならなくて
学校に行って滑って思いっきり転けた
部活の先輩に抱き締められた日は
確か 雪がちらついていた
あの日 先輩が
<部活終わったらうちに来る?>
と言った 私は
<お昼食べたら行く コンビニで待ってる>
と 待ち合わせを約束した
私は 家に行くこと の意味を
まだきちんと理解していない
親には
<友達と宿題してくる> と嘘を言い
友達には <名前を借りた> とメールした
コンビニで先輩は <来るのが遅い> と怒った
遅れたのは 10分
時間には厳しい人だった
先輩の家は案外遠くて
着いたときにはもう疲れていた
<はい、これね> と渡された
パックの野菜ジュースはトマトの味しかせず
ストローをひたすら噛んで
何かを紛らわした
座って漫画を読んでると
後ろから抱き締められた
<どうしたの?> と聞くと
<抵抗しないんだね> と言う
<そうだね> の後に
<だってなんとも思わないもの>
とゆう言葉口から出そうで
必死にこらえた
これを言えば 何かを失う事は知っていた
抵抗しない のは 好き
じゃなくて
抵抗しない のは 何も思わないから
だから キスされることも 抱かれることも
嫌がらなかったんだと思う
そうゆうことか と理解したときには
もう先輩は優しくなっていた
本当に宿題をしていたら
また後ろから抱き締めるので
<今度は何?> と後ろを振り向いた
先輩は <ねぇ携帯見せて>
と私の携帯を鞄から抜き取った
携帯を毎日チェックされるのだ
ただの独占欲だろう
先輩はそうゆう人だ
<異常なし> と言われるはずが
今日は何か不満そうな顔をされた
原因は携帯の裏のプリクラ
クラスの男女5人で私以外はカップルだ
スライドの携帯だから普段は見えないが
開けると見えてしまう
友人に無理やり貼られたのを思い出した
もう遅かった
先輩に怒られた
プリクラを貼ったこと
男子の隣でプリクラを撮ったこと
男子のいるグループで遊んだこと
最後に <俺はお前が大切なんだ>
と言われた
<だから側にいてて欲しい> と
抱き締める腕はいつもより強かった
だから 冷静でない頭が欲しかった
私の冷静な頭は
<この人は依存していて
もう彼女が好きで心配で
そうしたのも全て自分のせいだ>
と結論を出していた
窓から見た外の世界は
雪がちらついていた
calm snow
(要らない脳みそ)