Book 1
□moon rainbow
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月の周りに
ぼーっと虹ができていた
雨上がりに見る虹とは違い
なんだか幸福感がなかった
あったのは悲しみだった
夜中に一人で公園のベンチに
座っているからではなく
冷めた缶コーヒーを片手に
夜空を眺めているからではなく
ただ悲しみが出来事の直後より
遅くやってきてしまったからである
虹を見つめていると笑えた
ははは と笑った
笑ったら泣けた
あのあまりにもぼーっとした虹には
かわりに笑って欲しかった
moon rainbow
(君を想い見上げた夜空に)