Book 1

□langue de chat
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拾って下さいと書かれた箱には
二匹の猫が入っていた

少女漫画のように
僕は不良の高校生でもないし
今日は雨なんか一滴も降っていない

でも運命だと思い
(いや 運命だと思うことにして)
運命だよなと月に同意を求めると
月は何も応えずに雲に隠れた

家に来るかとゆう僕の誘いに
にゃーと応えると
僕の手に頬を擦り寄せた



猫は見た感じ両方とも雄で
白いほうをシロさん
黒いほうをクロさんと名付けた

猫はやはり
さん付けが可愛いのだ



シロさんには青い
クロさんには赤い首輪を買った

首輪を着けてやると
二匹とも満足そうにしていた




晴れた月夜に二匹を拾ってから
約三年が経った

二匹はとてもスタイルの良い
男前な猫に育った


僕はこの三年で
猫たちの舌に快感を覚えた

あのざらついた舌が
僕の指を舐めると
身体の奥が疼き

声にならない音が
口から漏れ出す

猫たちはそんな僕を見て
何故か軽蔑の目で見つめる

だが舐めるとゆう行為は止めない
僕がもういいよと言うまで
二匹で同じ指を舐めるのだ




ある日高熱が出て
会社を休んだ

入社して二年
会社を休んだのは初めてだった


シロさんとクロさんは
そんな僕
を心配してくれたのか
寝室に来て
ベッドの上に乗っかってきた

すると突然
シロさんが僕の頬を舐めた



僕が気を失い目を閉じる瞬間
クロさんが少し遠くから
笑っているのを見た










langue de chat
(狂気な人間を殺した凶器は)

 
 

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