短編ぶっく

□すたーれっと
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 すたーれっと。
 お前さえ、お前さえ・・・





「スターレット、起きなさい」
 朝、起きて視界に入ってくる母親
 俺の一番嫌い、否、憎い人間



「ほら、髪梳かしてあげるから」
 女みたいに長い髪
 女みたいな服



 俺は男だ
 ただ女として育てられた


 それがスターレット
 俺の双子の妹
 でももう、この世に居ないらしい
 生まれてすぐに死んだ、とか



 でもこいつは、
 女の子が欲しかったらしく
 その死を受け入れたくなかったそうで
 今に至る



「あら、毛先痛んでるわね。そろそろ美容院行かないと」



 俺の人生を壊した二人
 こいつとスターレット
 


 どうしてこんな奴のところに生まれたんだろうか




「スターレット、ご飯できてるわよ」




「スターレット、今日新しいお洋服買いに行きましょう?」




 煩わしい
 もう限界だ
 


 お前はスターレットを愛してるんだろう?
 ならそいつを殺してやるよ



 俺は傍にあった園芸用の鋏を掴んだ
 そして、自身の髪を切った



「ス、ター、レット、?貴方何してっ!」




「俺はスターレットじゃねえよ。俺はスターダスト、そうだろ?」



 スターダスト、それが俺の本名
 一度も呼ばれたことがない
 こいつのせいで



「いいえ!貴方はスターレットよ、貴方はスターレット!」





「そいつは死んだだろ」





「死んでないわ!死んでないもの、ここに居るじゃない!」




 もう、だめだなこいつ
 



 自分の空虚な妄想に浸ってる
 何言ってもわかんねえな



 なら、実際に消えてやるよ



 ベランダに出て、手すりに足をかける
 母親は必死に止める
 スターレット、と連呼して



「お前何かに俺の人生壊されてたまるか」



 そして俺は新たな世界へ飛び込んだ
 そこにあるのは自由




 
 Fin...?
 

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