短編ぶっく
□07/19~08/03
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そして時はたち、
首切りの存在は人々から忘れ去られていました
もしかしたら死んでたのではないか、との噂も出回りましたが、確かな証拠はなく、その噂さえも忘れ去られていました
そう、首切りはもう人々の記憶から消えたのです
そんな中、ある長屋では少し騒動になっておりました
ちょうど首切りのことで
「隼総さん、お早うございます」
「・・・はよう」
ちょうど隣同士の部屋に住んでいる隼総と宵
二人とも同い年であります
「今日はどちらへ?」
「少し、用事が」
「そうなんですか。お気をつけて」
そして宵が手に取ったのは白い花
この花こそが騒動の発端
首切りが殺めたときに使ったのではないか、との憶測が長屋の中で出回ったのです
その花は雪のように白く、花びらの形、つき方も珍しかったのです
そうなれば誰でも記憶に残してしまいます
「・・・首切りがここに住んでなければいいのですけれど」
「・・・」
「隼総さん?」
「すまない、少し頭痛が」
「まあ。無理はなさならないでくださいね」
宵が見送る中、隼総は長屋を跡にしました