緋色の欠片/めいん

□誘いの罠
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蝉が鳴く暑い夏の日のこと
夏休みに入り、課題や何やらで手いっぱいな僕のもとに一人の男性が訪ねてきた

―誘いの罠―


ドアを叩く音が聞こえ、僕は慌てて行き鍵を開けた。 戸を開けるとそこには祐一先輩がいた

「突然、すまない」

「い、いえ大丈夫ですよ?あの…僕に何か用なんでしょうか?」

「ああ、暇で有れば一緒に買い物をしないかと誘いに来た」

買い物ですか…
まぁ、今は暇ですし付き合うくらい大丈夫ですよね
僕は買い物に付き合います、と祐一先輩に告げ靴を履き外に出た。

外に出れば、部屋の中と全く違い暑い
今年の夏は去年と比べると暑すぎる

「…付き合わせてすまないな慎司」

「大丈夫ですよ、丁度暇でしたしやることがありませんでしたから」

僕はそういうと少し笑って見せ、先輩に合わせて歩いた。
そういえば…買い物って何を買うんでしょうか…?
少し気になった僕は隣にいる祐一先輩に問い掛けた

「どうした、慎司?」

「あのですね、一体何を買うのか少し気になっちゃいまして」

「ああ、…それは着いてから決める」

くすっと笑う先輩に僕は違和感を覚えたけど、気にすることもないだろうと思い先輩の後をついていった

何時間歩いて、やっと先輩の足が止まり僕も立ち止まった

「慎司、ここだ」

「ここは…?」

辺りを見回しても店らしきものはなくて、僕は首を傾げていた

「…ここでなら、いいだろう」

「………え?」

何か嫌な予感がした僕は祐一先輩から離れようとしたら腕を掴まれ引き寄せられた

「逃げても無駄だぞ、慎司…」

「あ、あの…一体何をするつもりなんですか祐一先輩」

「少し、試すだけだから安心していろ」

試す…?
一体何を試すんですか…?僕はそう言おうとしたとき、祐一先輩に口づけされていた

「……んんっ?!」

突然キスされた僕は、祐一先輩を退かそうと試みるがびくともしなくて
ただ、じっとするしかなかった
すると、口内に違和感を感じた
それが直ぐに祐一先輩の舌だということに僕は気づき必死に先輩を退かそうとした

「…ん、」

「…んんっ、ふぅ…」

先輩は僕の舌を絡めとり、深く深い口づけをされた僕は腰を抜かした

「…少し長すぎたか?」

「…はぁ、…な、何…するんですか僕は男ですよ?」

先輩と同じ性別で、それなのに…何でですか?
僕はそう言いたかったけど先輩が先に口を開いたから言えなかった

「…お前が好きだからだ」

「…えっ、今…なんて」

「二度も言わせるな、…お前が好きなんだ慎司」

好き?
先輩が僕を好き…
突然にそう言われた僕は考えようとしても考えられなくなっていた

「…お前は、どうなんだ?」

「…僕、ですか…?」

先輩に突然キスされたから抵抗はしてたけど嫌ではなかった
でも好きかは分からない

だけど嫌いか好きかって聞かれたら僕は祐一先輩のことは好きだ

「…慎司?」

「祐一先輩のことは好きです、けどそれが異性として好きなのかは今は分からないです…

でもあなたと一緒にいれば自分の気持ちがハッキリすると思いますから暫く待っていてくれませんか…?」

「…そうか、俺は何時でも待っているからな…?」

「ありがとうございます、祐一先輩…」

お礼を言った後、僕達は人通りのある場所へと向かった
その途中、僕は先輩が言っていた「試す」について祐一先輩に聞いた

「あれか…、慎司がどんな反応をするか見たかっただけだ」

「僕で遊んでも面白くもありません」

僕は少し拗ねて先に歩いて行こうとしたら祐一先輩に腕を掴まれ耳打ちされた

「 」


「…っ!? 結構です」

恥ずかしくなった僕は先輩に別れを告げ走って自分の家へと向かった
あんなこと言われたら恥ずかしくもなりますよ…
よく言えたな…祐一先輩も

(…発展したら、抱いてもいいか?自分は抱くつもりでいるんだが…)

あぁ…発展したらいいな、なんて思った僕もどうかと思いますけどね






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