緋色の欠片/めいん

□初めてのキスは甘すぎて
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今、灰色頭の家に居て…あいつと一緒にいるわけなんだが…マジ勘弁してほしいぞ


―初めてのキスは甘すぎて―






「狗谷くーん?ちょっと聞きたいことがあんだがいいか」

「あ?んだよ鬼崎?」

んだよ、じゃねえぞ
俺はじっと狗谷を見ては睨みつけていた
それもその筈
俺は何でかしらねーが、服を着たまんま液状化としたチョコをぶちまけられていたからだ

「なんで俺はチョコをぶちまけられねえといけないんだ?
  それに、あげくには手を縛るとはなんだよ」

「そうだな、簡単に言えばだな鬼崎
   お前を甘いもんと一緒に食べるんだよ」

は?
え、いやいや待てよ
何こいつ俺を食べる気か
何が何だかわからなくなってきた俺は
とにかく、この場から逃げたくて必死に立ち上がり
勢いよく走ったもののあっさり狗谷に捕まった

「は、離せっ!」

「嫌だな、離すわけねえだろ」

「だったらせめて手を縛ってるもんだけ外せよ灰色頭!」

必死に外して欲しいと頼み込んでも狗谷は外さないとの一点張り
これだけ頼み込んでも俺の言うことは聞いてくれないわけだ
じゃあ俺だってお前の言うことは聞かないぞ絶対に
そう心の中で呟いていると…
狗谷に身体を引き寄せられたあげくには、口付けされていた

「ん、んんー?!」

「…黙れ、うるせえ」

深く深い口付けをされて、腰を抜かしそうになる俺だが
あいつに支えられているから座ることさえも出来なかった
あーあ…俺のファースト、何でコイツなんかに奪われる嵌めになったんだ…
もう半ば諦めかけていると…狗谷が離れた

「…はぁ、お前…」

「どうだ?初めてのキスはよ」

「どうって…全身にチョコぶちまけられてる所為か、甘ったるかったわ」

「そうか、まぁお前ファースト奪ったからそれはそれでいいか」

ん?んん?
その言葉を聞き、俺は咄嗟にこう言った

「お前…最初から身体目当てじゃなくて俺のファースト奪う気だったのか…?」

「ああ、お前を甘いもんと一緒に食べるは口実だ
    それに、身体にチョコぶちまけたのは口に含んでキスすんのが面倒だったからだ鬼崎」

あー…なんだ、こいつに騙されたわけか俺は
俺の焦りと不安と…まぁ、色々と返せ馬鹿
そう言ってやりたかったが、こいつのことだ
お仕置きがどうたらで再度キスしてきそうだからな

「もういい、風呂借りるぞ」

「一緒に入るか?」

「嫌だ、お前は入ってくんな」

これ以上何かされたら俺が困る
その場から逃げるかのように俺は部屋を出た

「あー…もう俺ほんと危ない奴と知り合ったな
   けど、まぁ…」

嫌ではなかったな
つーか、初めてのキス…
チョコの味がしたし甘すぎだ

こんなんじゃ…
忘れたくても忘れられねえだろ

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