緋色の欠片/めいん

□共に在り
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…置いてかないでよ
一人になるのは嫌なの、ねぇ…

―共に在り―


「…き、珠紀」

「ん…ったく、ま?」

何時の間に寝てたんだろ
目を覚ますと目の前に拓磨がいて
何でか知らないけど心配そうな顔をしている

「お前、怖い夢でも見たのか?」

「…え?何でそう思うの?拓磨…」

「何でって、そりゃ…お前、自分が泣いてんの気づいてないのか?」

泣いてる…?
私は鏡で自分の顔を見てみると
確かに自分は今でも泣いていることに気づいた

「どうした?どんな夢見たのか言えるか?」

「…うん、あのね拓磨」

私がどんな夢を見たのかを全部拓磨に話した
話していると何故か、何でかわからないけど
涙が溢れてきて私はまた泣いた
だけど、拓磨が優しく私を抱きしめてくれたから…
あなたが此処にいる、そう感じれるから
少し安心したの

「大丈夫だ、心配しなくてもいい、俺はどこにもいかないぞ?
   珠紀を置いてどこかに行くわけないだろ。こんな危なっかしい奴置いていけるわけないな」

「…うっ、ぅ…危なっかしいって何よ、馬鹿ぁ」

「ほんとのことだろ、お前は人一倍無茶する奴だからな
   心配で仕方ねーわ」

拓磨はそんなことを言って私の頭を撫でてくれた
それだけ、それだけで私は十分だった
この手で撫でてくれる、この手で私を抱きしめてくれる
それが何より私は嬉しいことか
拓磨は気づいてるかな

「珠紀、…俺はお前と共にある、だから離れたりはしねーぞ」

「…うん、絶対だよ?拓磨」

「あぁ、絶対だ。この命に代えても誓うぞ珠紀」

言葉だけじゃ足りなくて
私達はそっと唇を重ねてた
お互いが離れた後は見合わせていた
ちょっと気恥ずかしくて目線を逸らした時に…
拓磨が耳元で何かを囁いた


            」

「え、あ…」

私の頬が赤くなっているのを自分でもわかった
だって仕方ないよ
あんなこと囁かれたら赤くするの当たり前だと思う
でも、嬉しかったからいいかな


「愛してる、これからもずっと一緒だ」なんてさ…
私だって愛してる、これからもずっと一緒にいたいもん拓磨

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