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□幸せを噛み締め
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気まずい沈黙が流れるなか、妙は諦めたように片付けを開始した。


それを黙って手伝う新八。





「…なにやってんの?」

突然、聞こえるはずのない男の声が聞こえてきた。




驚いて、弾かれたように振り返った先には銀時の姿が。




「…銀、さん…」


後を着けてきたのか!と新八が心の中で焦っていると、神楽が近付いてきた。




「これ、なにアルカ?」

不思議そうに、大量にある失敗作を見ながら言う。



「えっと…これは、その…」




あたふたと、言い訳を一生懸命考えていると、妙が顔を伏せたのが視界に入った。


それになんとも言えない心地に陥り、ボソボソと喋る。






お菓子を作りたかったのだと。


姉上が、銀さんに、食べさせてあげたかったのだと。




 
「…なんでまた急に?」


「…今日は、バレンタインデーじゃないですか」

呆れたように言えば、パチリと目を瞬かせ、あぁ、と思い出したように呟く。




「でも、作れなかったんです」

やっぱりダメね。



先程と同じように言いながら、手を動かす妙に、神楽が心配そうに顔を覗き込む。



銀時はジッと、妙の背中を見、ふと思い付いたように妙に近付く。


 
「…あー。銀さん甘いものが食べたくなっちゃったなぁ」

「銀ちゃんはいつでも食べたい食べたい言ってるヨ」

「黙れ。…誰か一緒に作ってくんねーかなぁ」



ピクリと妙の肩が動く。

「一人で作るって結構疲れちゃうのよねー」



そう言いながら、冷蔵庫を覗いたりし、材料を確認する。


「……銀さん…」

妙が振り返り、困惑した表情をする。




「…俺は、なんでもいいよ」




そう言って、まだ残っている、妙が作ったものを手にとる。



止める間もなく口に運ばれる。


「ぎ、銀さん!?」

妙が驚き、それと同時に銀時が蒸せる。
当たり前だ。





「…あー」

水で飲み込んだ銀時は、泣きそうな妙を振り返る。



「…ごちそうさん。妙の頑張りで俺ァ充分だ」



 
彼の死んだ魚の瞳と称される紅い瞳。



それが今は優しく細まり、大きな腕に包まれる。

「銀、さん…」


美味しいものを食べさせたくて、数日前からずっと練習していた。

でも出来なくて、当日を迎えてしまっていた。



それでも彼は優しく自分を包み込み、優しい言葉をくれる。


「……来年は、美味しいものを作ってみせますからね」

小さい声で呟いた声は彼にしっかりと届いたらしく、楽しみにしてると。

ぎゅっと彼の大きな背中に腕を回しながら幸せを噛み締める。


 










「……姉御も銀ちゃんも、完全に私たちを忘れてるヨ」

「……うん」

呆れたような二人。


でも幸せそうな雰囲気をぶち壊すほど、子供でもない。

「……でも」


ふと神楽が心配げに眉を下げる。

「銀ちゃん、お腹大丈夫アルカ?」

「……」






次の日、布団から出れない銀時がいたとか、いなかったとか…。



END




うわ、なにこの駄文。
申し訳ないです(>д<)
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