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□誰が言うかよ
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「……白夜叉だァァァァアア!!」

あぁ、過去はいつまで俺を縛り付けるのだろうか。





















その日は、珍しく依頼が入った日だった。

客が来たのではなく、電話が来たのだ。


警戒している銀時を他所に、神楽と新八はすぐに了承の意をだした。





なぜなら、依頼はすごく簡単で、指定の場所に荷物を運んでほしいとのこと。

嫌な予感が、胸を締め付けるなか、それを隠して依頼人との待ち合わせ場所に向かった。



そこに待っていたのは――…大量の天人。

驚き、固まる二人を突飛ばし、飛んできた弾丸をすべて弾き飛ばす。


「……白夜叉だァァァアア!!捕まえろ!!」




最悪だ。

やつらの目的は俺――…いや、白夜叉だったのだ。



 
「…チッ…」



子供たちを庇いながら戦う銀時の方が分が悪い。

二人の足は完全にすくみ、動けそうにはない。





「…逃げろ!!新八!!神楽!!」


銀時の声にハッとなる。

気付いたら彼は傷だらけで、木刀しか手にはない。



相手は真剣に銃と、人を殺すための道具ばかり。




「銀ちゃん!!」

「銀さん!!」



足手まといにしかならない自分たちに嫌気がさす。


駆け寄ろうとした二人に、銃がむく。




「アブねぇ!!」


バァァァアアアン――…



 
何度も危ないことに巻き込まれていた。

だから、銃の音だって聞いたことはあった。




なのに、なぜ、今聞いた銃声は怖くて仕方がないんだろう。




「……ケガ、ねぇ…か…?」

「ぎ、銀、さん…」

「銀ちゃん……!!」





ボタボタと脇腹から血を流しながら、自分のことは省みない銀時。

「逃げろ…」





先程よりも弱々しい声音で言う。


それに背筋が凍って、神楽はいやだと、首を振る。

新八も振りたかった。



振って、この場にいて、彼を守りたかった。





「…ぎ、銀さん!!ま、待っててくださいね…!!すぐに誰か呼んできますから…!!」




言うなり、神楽の腕を引っ張り、駆け出す。





神楽は抵抗するが、新八が手を離すことはなかった。天人が数匹、退路を塞ぐ。


 
それを薙ぎ払う銀時を見ながら、溢れ落ちそうになる涙を堪えた。





「銀ちゃぁぁぁぁぁん…!!」


神楽の叫びを聞きながら、うっすらとした笑みを浮かべる。




「は!!夜叉の国に手ぇ出したんだぁ…」






木刀を投げ捨て、天人が持っていた真剣を奪い取り、構える。




「覚悟は、出来てんだろぅなぁ!!!!!!」

紅き瞳が、貫く。








濃厚で、ただ、殺すと言う気だけが込められた純粋なる殺気。


それを受けながら、震える身体を叱咤し、夜叉に襲いかかる。






















「………悪ぃ、神楽、新八……」



 
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