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□斬れないや、
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そうだ。
墓参りに行こう。




なんでかわからないけど、いや、ホントはわかっているのだけど、ふとそう思った。



かの場所に行けば、なにかが変わる気もするし、この気持ちも吹き飛ぶ気がした。

子供たちに見つからないように早朝の歌舞伎町を歩く。




しばらく歩くと、前方に黒い服を纏った二人組の男たちにあった。




片方はあからさまに眉をしかめ、もぅ一方は目を瞬かせる。





「旦那じゃないですかぃ」

「やっほー」



土方と沖田だ。



厄介なものに会ったなと思いながら、それを表に出すことなくヘラリと笑う。




「こんな朝早くからなにしてんですかぃ」



沖田の質問は尤もだと思った。


 
「ちょっとねー」

「今の時間帯はどこもあいてないですよ?」

「あー…」

「…人と会う約束でもあんのか」




なんで今日に限ってこんなにしつけぇんだよ。


「…親、に会うんだよ」


親、と言って良いのだろうか。
護れなかったのに、言っても良いのだろうか。





「こんな朝早くなくても良いだろうがよ」

「あー…」




しつけぇ!

内心イライラしながらヘラリと笑う。




「ずっと寝てっから、朝とか関係ないしね」

「え?」

「それって…」




言葉に詰まる二人を見て、やっぱ言わなきゃ良かったと後悔する。




「…だん、なの親は…」

「ん?死んだよ」


 
正確には、殺されたんだけどね。




この国に。
――…てめぇら、幕府に。




心の中で呟き、ヘラリと笑う。

「…そう、だったんですかぃ」




いつも飄々としていて、なにを考えているのかを悟らせない銀時。

今もわからない。



微妙な顔を沖田がしていると、銀時が横を通る。



「んじゃねぇ」



ひらりと手のひらを振り去っていく。




「…土方さん…」

「…んだぁ?」

その後ろ姿を見ながら、二人は銀時の微かな拒絶を感じていた。

これ以上踏み込むな、と。





「旦那の過去って…どんなんだったんでしょうねぃ」

それは一緒に過ごしているあのチャイナ娘も、ツッコミが得意な眼鏡の少年も知らないことだった。



「…さぁな…」



でもこれだけははっきりしている。

彼は芯のまっすぐな侍。

折れることのない魂で、優しすぎる優しさを人に与えている。



 
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