小説

□ツンバニSSS
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 オフィスで虎徹は溜め息をついていた。
「報告書めんどくせえ」
「言われてる期限、明日ですよ」
 すぐ側で、わざわざ分かりきった事を言うのは、相棒のバーナビーだ。
「わーかってるよ!全くどいつもこいつもネチネチネチネチ…」
「僕は当たり前の事しか言ってません。
サボってないで手を動かしたらどうですか」
 虎徹はしぶしぶコンピュータに向かい、書類を作成し始めた。
「お前、もうちょっと相棒に対して優しさって物がないのか」
「おじさんて、泣かせてみたくなるんですよ。脳天気すぎて」
 さらりと言われた一言に虎徹は思わずカチンときた。
「はあ?俺はお前より年上なんだぞ。もう少し、遠慮とか敬意とか」
「これでも十分払ってますけど?」
「どこがだよ!」
 バーナビーは苛立ちを隠さずに虎徹を眺めた。
「じゃあ、僕の邪魔をしたら、どうなるか分かってますよね」
 あまりよろしくない記憶が甦ってきた虎徹だったが、
思いきり顔をしかめると、そっぽを向いて呟いた。
「腹黒うさぎ…」
「何か言いました?」
「いいや!別に!」
 どうせやるしかない物だから早く終わらせてやると息巻いて虎徹は画面に向き直る。
 そして作業を終えて、プリントアウトした物をデスクの上に置いて
少し席を外していたら、戻った書類には添削の後が。
「これ、お前か。バニー」
「バニーじゃ、ありません。間違ってるから直しておきました。
やり直しになったら、また貴方が小言を言われて、
一緒にいる僕が余計な時間を取られるので」
「まあ…間違えてる俺が悪いんだから。ありがとな」
 礼を言ったらバーナビーがじっと見てくるので、虎徹は何だか居心地が悪かった。
「ちゃんと礼を言ったろ」
「素直になられても泣かせたくなりますね」
「何なんだよ!それ!」
「理由、知りたいんですか?」
 言葉に詰まった虎徹は、本能的にそこには触れてはならない予感がしていた。
「いや、やっぱりいい」
 バーナビーが少しだけ、楽しそうに笑ったような気がするが。
(まさかな…)
 まだまだよく分からない相棒だと虎徹は思った。
 
 
 
 
 
WEB拍手2011/09/08更新
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