図書館戦争

□White rose.
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 堂上が悩みを打ち明けた後、結局小牧は何も言ってこなかった。
 とうとう親友にも裏切られたか。
 そう思うと溜め息をついてしまう。
 今朝なんて目覚めたらすでに郁は先に仕事場に行っていた。
 あの朝に弱い彼女が必要以上の早起き。
 今頃手塚とラブラブか、と自分でも訳のわからない皮肉が思い浮かぶ。
 自分が思っている以上に彼女の存在は大きいらしい。
 そう思うと余計むなしくなってくる。
 朝起きてから何度目か分からない溜め息をつきながら部屋の扉を開けた、その時──

 クラッカーの音が響きわたる。
「堂上教官!! お誕生日、おめでとうございます!!」

 ──目の前の光景を受け入れるのに、少し時間がかかった。
「……え」
「篤さん! お誕生日おめでとう」
 この言葉で、今日が自分の誕生日だったことに気がついた。
「一正、おめでとうございます」
「おめでとう」
「また一つ老けましたね!」
 誰だ、ちゃっかり要らん台詞を言ったのは。
「堂上一正」
「これ、どうぞ!」
 郁と手塚がプレゼントを差し出す。
「これで分かっただろ? 堂上」
 ああ、分かったよ、何もかも。
「特殊部隊のみんなからお花と、あたしと手塚からメッセージです!」
 可愛い部下たちからのサプライズだったんだ。
「……篤さん?」
 今まで疑っていた自分が何だか可笑しくなってきた。
 そうだよ、このバカで素直なヤツが。
 浮気なんて、する訳ない。
「ありがとな、アホ」
「アホ!? 何で突然アホなんですか!!」
「いや、こっちの話だ」
 白いバラの花束。
 花言葉──わたしはあなたを尊敬します。

fin.

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