図書館戦争

□Your dream.
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 毬江は目の前にある白い紙を見ていた。
 授業終了のチャイムが鳴り、クラス担任の教師が話をまとめる。
「──とゆうことで、来週末までにこれを提出すること。以上」
 何人かの生徒が席を立ち上がったが、毬江は座ったままぼんやりと窓の外を眺めていた。
 ……進路、か──
 その時毬江の携帯が鳴った。
 確認をしてみると送り主は郁だった。



「──進路、ね〜〜」
 柴崎の淹れた紅茶を飲みながら郁は呟いた。
 進路希望調査書が配布された週の日曜日、毬江は郁と柴崎の部屋に遊びに行っていた。
「私、今までちゃんと進路のこと考えたこと無くて……。笠原さんと柴崎さんはどうやって決めたんですか?」
 二人は顔を見合わせる。
「どうって言われてもね〜〜」
「……あたしと笠原は大学は『距離』で決めたのよ」
 毬江は目を瞬いた。
「距離、ですか?」
「笠原は親元を離れたくて、あたしは地元を離れたくて東京の大学を選んだの」
 だから参考にはならないかな、と言いながら柴崎は微笑んだ。
 確かにまだ具体的に進路を決めていないものの、耳のことがあるため毬江は地元を離れるつもりは無かった。
「じゃあどうやって決めていけば良いと思いますか?」
 郁が腕を組む。
「う〜ん。堂上教官と小牧教官は図書大学校に通ってたって言ってたから……やっぱ自分の就きたい職業で決めていったら良いんじゃないかな」
 ──『就きたい』職業。
 それは、もちろん──

 図書館員。

 本が好きなら誰だって就きたい職業だ。
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