図書館戦争

□The past and the present.
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 ポストを覗くとチラシに混ざって封筒が入っていた。
 送り主は母だった。
「珍しい……」
 堂上は部屋に戻り封筒を開けた。
 しかしその中には手紙ではなく、メモと青い封筒が入っていた。



「──同窓会、ですか?」
 翌日昼食を摂っている時に郁に話した。
「いいなぁ〜〜。あたしは出勤日と重なって行けませんでしたよ」
「いや、行くつもりはない」
 郁の箸が止まる。
「行かないんですか!? せっかく公休日と重なったのに!! じゃあ何で今あたしにその事話したんですか!?」
「食堂で大声出すな!! ……これ」
 堂上は一枚のメモを取り出した。
 指で追伸のところを叩く。
「『郁ちゃんは元気ですか?』……ってバリバリ元気ですよ」
「息子より息子の彼女の心配だ」
 言い終わってから深い溜め息をついた。
「……教官、元気ですってお返事書いといてください」
「ただのメモ帳に返事などいらん! ……だから、その……」
 堂上が頭を掻く。
「……また、一緒に実家に行かないか」
 郁はしばらく黙っていた。
「嫌なら別にいいが……」
「いいですよ。行きます。ですから……」
 郁は堂上の手を両手で握った。
「教官は同窓会行ってください」
 堂上は眉間にシワを寄せる。
「何で俺まで!」
「もっとちゃんと考えてみてくださいよ〜〜」
 郁は指でメモを叩いた。
「お母さん、実家宛だった同窓会のお知らせをわざわざ送ってきてくれたんですよ? きっと同窓会に行ってほしいんだと思います」
 確かにわざわざ送り直してくれるとは思わなかった。
「でもその日は……」
「あたしはいいです! 同窓会は何年かに一度しか無いんですから! 行ってきてください!」
 そう言って郁は昼食を掻き込んだ。
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