図書館戦争

□White rose.
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 葉が枯れ落ち、本格的に寒くなってきた頃である。
「……あり得ないね。そんな話」
 小牧は不安そうな友人の考えを否定した。
「いや、しかし」
「それは堂上の思い込みでしかない訳で、これという根拠がちっともない」
 笠原さんがそんなことする訳がない。
「でも俺は見たんだ!」
 ──手塚と一緒にいるところを。
「手塚だってそんなふざけたことをする訳ないだろ。それに──」
 これはちょっとキツいかと思ったため、少し間が開いた。
「堂上は二人のことを信じられないの」
 言葉に詰まっているように見える。
 そもそもこの友人は過保護すぎるのだ。
 彼がそれに気づいたのは二日前だった。



 残業も終え、帰り支度をしながら声を掛けた。
 しかし彼女は適当に相討ちをし手塚の手を引っ張り部屋から出ていった。
 帰宅し二人で何をしていたのか訊いてみたものの愛しい妻は何も答えない。
 しつこく何度も訊いてみたが、とうとう黙り込んでしまった。
 ならば次の方法。
 妻の親友、柴崎に訊いてみたが眉間にシワを寄せ、しばらく指を唇にあてていた。
 柴崎でさえ何も知らないらしい。
 夫にも親友にも言わない秘密。
 堂上はそれに悩み続け、今に至る。

「でも浮気だけは絶対に無いから。信じてやれよ」
 それでも堂上は黙ったままである。
「……じゃあ俺が笠原さんか手塚に訊いてみるよ。程好い距離の人の方が言いやすい事って場合もあるし」
 まだ安心はしていない様子だったが、その場ではそれに落ち着いた。
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