図書館戦争

□Shooting star.
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 はっきりと述べよう。
 堂上と流れ星のごとく現れた彼女のやりとりは見ていてとても面白い。
 流れ星を助けたことをきっかけに冷静な大人になりきっていた彼が、その流れ星に埋めていた過去を掘り起こされる。
 彼は慌てて過去を埋め直す。
 過去を埋め直す彼の姿を見て俺が笑う。
 誤解をしないでほしい。
 けして俺が堂上に恨みを持っている、という訳ではない。
 彼女といる彼は昔……つまり素に戻る。
 その一瞬を見ることができるのが面白いのだ。
 だがしかし。
「……ごめん、堂上。いい加減にしてくれない?」
「何が」
 目も合わさない。
 何が、とは言っているが確実に最初の台詞の主語は分かっている。
「俺の口から聞きたいの?」
「だから何のことだ」
「言ったらまた機嫌悪くするでしょ」
 笠原さんのことだよ。
 ──なんて。
 駄目だ、今日のNGワードだ。
「……別にお前に腹を立てている訳ではない」
 やはり堂上は主語が分かっていた。
 今から数時間前のことである。



「小牧教官。あの、他館に間違えてリクエストをかけてしまったんですけど……」
「キャンセルのやり方ね」
「えっ? は、はい……」
 笠原さん、その方法俺に訊くの三回目だよ。
 ──とは思ったがこの場では謹んでおく。
 性格のせいか彼女は質問のほとんどを俺に尋ねる。
 本来ならばそれらの質問は同期の手塚に訊かなければならない。
 しかし今彼女は手塚と気まずい関係であると知っているため、注意しようにもすることができない。
「まずここをクリックして……」
 中腰でパソコンの画面に映るボタンを指した。
 彼女は真剣にメモを書き留める。
 その考えは最初から無かったのだろうか。
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